第110話女子の家に行くのは緊張する


ピーポーン!


お、押してしまった!

いや押していいんだよ!

やべぇめちゃくちゃ緊張してきた。

でももう後には引けないしな

それにただのお見舞いとプリントを渡すだけじゃないか、何もやましい事なんてないし?

あ、でも足立さんに話さないといけない事があったんだよな。

でも、病人だし、また後日にして今日の所は

プリントとお見舞いの品を渡すだけにした方がいいかな?




・・・・・・・・・・・・・・・・



あれ?出ないな?

どうしたんだろう?

もう一度押してみるか


うん、出ない

もしかして誰もいないのか?

可笑しいな、親はしょうがないとしても

足立さんは風邪だから居るはずだ。

うーんどうしたものか

プリントがあるから帰るわけにもいかないしなぁ

最悪プリントだけでもポストの中に入れて帰るか?

そうやって考えていると後ろから声が聞こえた。


「あれ?○○君?」


「はひぃ!!」


やべぇ急に声をかけられたから変な声が出た

なんだよ、はひぃってめっちゃ恥ずかしい

誰だと思い後ろを向くとそこには私服姿の

足立さんがいた。

うん、私服姿も可愛いですなー

って違う!

そうじゃなかった今日はプリントと「松本花菜」の事で来たんだった。


「ぷっどうしたの?変な声出して」

「しかも私の家の前で」


くっ!笑われた!

あーもう家に帰って布団にくるまりたい!


「本当にどうしたの?そんな百面相みたいな顔をして」


今すぐにでも帰りたいがここで帰ったら来た意味がなくなる。

取り敢えずプリントだけ渡して帰ろうかなぁ

でもなぁ『松本花菜』の事で話さないといけないし

どうしたものか。

そうやってまた頭の中で色々と考えていると


「あのーそれで結局何しに来たの?」


「あ、ごめん」

「今日足立さん休んだでしょ?」

「それで今日の分のプリントを先生に渡す様に言われてね」

「まぁ後はついでにお見舞いでもと思って」


あーさっきの事もあるから今日は早く帰りたいなぁ。


「そうだったんだ」

「でもなんで○○君が?」


そこ聞いちゃいますか

まぁ普通なら足立さんの友達とかが来るんだよねー

でも先生が何故か俺と足立さんが仲が良いという理由で来たとはなんだか言えないしなぁ

取り敢えず誤魔化そう。


「いやーたまたま帰ろうとしたら先生に用事頼まれてね、そのついでに渡して来いって言われて」


うーん嘘をいうとなんだか罪悪感が。


「ふーんそうなんだ」

「取り敢えず家の中に入ろう?」


へぇや!

え、お邪魔していいの?

でもなぁー


「い、いやプリント渡すだけだし」

「それに足立さん風邪引いてるからあんまり長居は出来ないよ」

「だから今プリント渡して帰るよ」

「あ、それとこれお見舞いの品」


そうだよね、風邪の時に『松本花菜』とかの

話をしても足立さんキツそうだし

また足立さんが元気な時に言えばいいよね!

別に女子の家に行くのが緊張するとかじゃないよ?

ほんとだよ?


「でも、せっかく来てくれたのに悪いよ」

「それにさっき病院行ってきて薬とか貰ってきたし、それに今はだいぶ落ち着いてきたから大丈夫だよ」


マジすか


「さぁさぁ上がって?」

「ちょうど両親も居ないし」


いやいやいや余計に緊張するわ!

いや、両親が居ても緊張するけども!

そうやって悶えていると


「何してるの?」

「早く入ろ」


くっ!覚悟を決めろ!

いざ足立さん家へ!




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