第37話爆弾発言??


『桜井暖人』この『世界』の主人公

成績優秀、運動神経抜群、顔も整っており

正に主人公と言えるだろう


そして今起きている現象の中心人物でもある

本来なら俺の様なモブとは接点さえないはず

精々同じクラスメイトといった共通点だけのはずだった

だが、何故か今そんな彼から俺の携帯に電話がかかってきている。

つい先程俺と同じ境遇にいる足立さんと

今後に付いて話し合い『桜井暖人』と

同じく謎の転校生『姫野あかり』には

余り積極的に近付くのは危険なので

距離をとりつつ、かつ離れすぎずにいる

丁度いいポジションに付く事に決めた直後に

この電話。

まるで物語が先に進めと言わんばかりに

厄介事が起きている気がしてならない。


このまま電話に出ないと云う選択肢もあるが

事が事なので迂闊な行動は避けるべきだろう

余り時間もかけられない

つーか何でこのタイミングだよ

嫌がらせとしか思えない

本当に優しくない世界だなおい

取り敢えず電話に出る事にする。


「もしもし?」


『あっ○○?今大丈夫か?』


全然大丈夫じゃない


「あぁ少しなら大丈夫だよ」


ここは無難に行くしかないか

果たしてどんな内容やら

そう構えていると


『いやー午後の数学の宿題忘れてさ』

『悪いんだけど良かったら見してくれない』


くだらな!

想像の斜め下にいったよ!

つーかそんな事を何で俺に頼むんだよ!

お前ならもっと見してもらえる人いるだろ!

そもそも俺も今宿題あるの気づいたわ!

そういえばあったね宿題!

最近色々有りすぎて俺もやってねぇーよ!

主にお前のせいでな!


「すまん、俺もやってないや」


『そっかーならしょうがないかー』


待てよ、これを上手く誘導して

『姫野あかり』に貸して貰える様にしたら

少しは2人に繋がりが出来るのでは?

だがそんな事、俺に出来るか?

賭けの要素が強すぎるな

変に思われると今後に響くかもしれない

くそ!もっと口が上手ければいけるかも知れないがそんな無い物ねだりしても仕方ないか

そんな事を考えていると


『ならここは足立さんに借りてみるか』


「はぁ!!」


『えっ!どうした?』


あまりの急な展開につい変な言葉を出してしまった。


「いや、な、なんでもない」


誤魔化すの下手か!


『そ、そうか』


ほら!向こうもなんか変に思ってるし!

いやそんな事よりもなんで足立さんなんだよ

よりにもよって足立さんは駄目だろ!!

いや?駄目なのか?

つーかさっきからチョイスがおかしいだろ!

明らかに狙ってるだろ!

ここで変に足立さんは駄目だと言うと変に

思われる可能性が!


「なんで足立さんなんだ?」

「2人ってそんな仲良かったけ?」


ここは探り探りに聞いてみる


『いや、別にそんな仲良くはないけど』

『彼女ってそういう宿題とか忘れない感じだろ?』


いや、確かに足立さんはそんな感じだけども

そもそもお前も成績優秀な設定じゃなかったけ!?


「た、確かにな」

ど、どうすれば正解なんだ!

こんなしょうもないことで頭がパンクしそう


「あーでもすまん先に俺が足立さんに見してもらう約束しちゃたわ」


どうだ!

なんかいい感じに返した気がするぞ!


『なんだよ、それならそう先に言ってくれよ』


よし!


「いやーすまんすまん!」


なんとか乗り切ったか?


『そういえば最近○○と足立さん仲いいもんな』


えっ?


「そ、そうか?」


『あぁ最近一緒にいる所を見るって噂になってるぜ』


マジで!?

話し合いをする際どうしても会って話す事があるから、そこを誰かに見られたか!

確かにこの現象が起きてなければ俺みたいな

奴が足立さんという高嶺の花と話すなんて事ないよな

なんか自分で納得して悲しくなってきた


「あー席が近いからそう見えるのかな?」

「実際はあんまり仲良くないと思うけど」


ここは誤魔化そう

変に噂されてるのは足立さんに迷惑がかかる


『そうか?なら良かった』


ん?

良かった?


「えっ?何が良かったんだ?」


『あっいやーなんでもないよ!』


誤魔化すの下手か!(2回目)

なんかあるだろ!絶対なんかあるだろ!


『まぁいいや!宿題は他の奴に見して貰うよ』

『それじゃあまたな!』


そう言って強引に電話を切った。

まさかと思うけどアイツ足立さんに気があるとかじゃないよな

違うよね?そうだよね?

もしそうなら物凄くヤバイ事になるんだけど

最後にでっかい爆弾だけ置いていったよ!!


マジでどうしよう

屋上で携帯を片手に持って遅刻が確定した

モブがいた

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