第12話ドジっ娘足立ちゃん!

「○○君」


その一言で我に返りなんとか返事を返す。

「あーこうして話すのは二度目かな?」

まずはありきたりの言葉を、

「何で俺に手紙なんかを?」

「しかもこんな場所に呼ぶなんてなんか重大な事でもあるのかな」

とりあえずは何故呼ばれたか知らない風を装う、ないと信じたいがもしかしたら俺の考えている話と違うかもしれない。

「○○君、きみはあり得ない状況に立ったらどう思う?」

そう話す彼女はこちらを見ず今だ空を眺めていた。

これはアタリかな。

「うーんその状況にならないとわからないけどパニックになるかな」

「そうだね、私もそう思う」

「それを言うためだけに呼んだの?」

すると足立さんはこちらを見て

「惚けないでいいよ」

背筋がゾクッとして冷や汗が流れる。

「君も今の現象を理解しているよね?」

「まるで違う世界に迷いこんだみたいな」

「自分だけが異物の存在に感じる」

「この現象に」

そう言って捲し立てる。

その通りだ俺もこの現象が起きて同じ事を考えていた。

これで足立恵が俺と同じ境遇にいる事が確定した。

「あぁ俺も同じ思いを感じている」

「最初にこの現象が起きた時は夢か自分の頭を疑ったよ」

「そういえばなんで俺が同じ境遇の人とわかった?」

そこで少し疑問に思っていた事を聞いてみた。

すると足立さんは話だした。


最初は何も疑問に思わなかった、けれど

あの転校生が来たとき初めて知った。

『桜井暖人』の存在に

訳がわからなかった。

私はクラスの委員長をしているのは知っているよね?

だからクラスの人の事はだいたい把握しているつもり。

こんな人クラスにはいないと

しかも回りは居るのは当たり前の用に接している。

その瞬間、ものすごく怖くなった。

なんで?どうして?

誰も疑問に思わないの?

そんな事が頭を支配しているとき

君と君の友人の声が聞こえた。

『あのさ、クラスにあんなやつ居たっけ?』

『いやいや最初からいるだろ、つーか去年も同じクラスじゃないか』

この時初めて知ったよ

私だけじゃないんだとね

けど確信がなかった、だからそこから君を少し観察してみると今の状況が理解出来ないって感じだったから昼休みに君を探して聞こうと思った、けどもしかしたら感じ換えかもしれないしね。

それに明日になれば元に戻っているかもって思っていたし。

だけど結局は何も変わっていなかった。

いやこの場合は変わっていたかな?

まぁそんなことはいいか

それで今日こそは君とコンタクトをとろうと思って、朝一番に君がいたのは運がよかったよ。

誰にも気付かれずにこうして呼べたしね。

まぁ賭けの要素は強かったけど。


そう彼女は話した。

なるほどあの時の会話を聞いていたのか

そして俺の事を疑問に思いしばらく観察して

それが確信に近づいてこうして接触した訳か

考えている事は一緒って事か。

そう頭を整理している時

「君はどうして私のことを知ったのかな?」

「自分で言うのも可笑しいけどこんな話普通は信じないよ?」

確かにね、俺もこんな状況ではなかったら

素直に彼女の頭を疑う。

「それは昨日朝俺が桜井暖人の事を知ろうとと他の教室の友人に話を聞きに言った時の帰りに足立さんとすれ違った時にこんな人いないって聞こえてね」

「そこからは足立さんとだいたい一緒かな」

「あの時かぁ」

俺は話ながらも同じ境遇の人がいたという希望と夢ではないという絶望が心を支配していた。

「とりあえず今日はもう暗くなるからそろそろ帰ろうか、お互いの確認が出来たし」

その言葉にハッとなり確かにそろそろ日も落ちてきていた。

「そうだな、もう遅いしこれからの事はまた追々話すとしようか」

「そうだよかったら連絡先を交換しておかないか?」

連絡先が分かれば情報の交換が楽にできる。

「もしかして私の事好きなの?」

「はぁ!!」

なんでこの流れでそうなるんだよ!

さっきまで凄いシリアスだったじゃん!

台無しだよ!

いや確かに可愛い女子の連絡先を手に入れたら嬉しいけど今はそんな状況じゃないじゃん!

まぁ嬉しいですけど。

「アハハ冗談だよ♪」

「情報交換の為だよね」

くそ!クラスの時と雰囲気が違う

これが素なのか?

俺はちょっとした仕返しに手紙の事を聞いてみた。

すると顔が真っ赤になり何故か足を踏まれた。

理不尽だ、このドジっ娘めっ!

そしてなんやかんやで連絡先を交換した。


「これからよろしくね○○君」



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