第3話 ログイン作業をしていれば 仲間集めもチートです

気を取り直して、俺はもう一度メニュー画面を開いた。

キャラクターをガチャで召喚できるなら、何度だって出来るはずだ。

すると、俺の思惑通り【ガチャ】ボタンを発見。ポチッ。


『魔晶石100個を使って、ガチャを行いますか?』


俺は魔晶石の所持数を確認した。


「えっ・・・・・・?」


何度か確認した。いや、何度も確認した。という方が適切だ。要するに、それ程までに確認が必要な案件だった。

だが、しかし、間違いない。


ーー魔晶石の所持数がカンストしている。


ついでに、所持金と回復薬もカンストしていた。

しばし一考して、結論に至る。どうやら、現実世界でのログイン作業の結果が反映されているようだ。

塵も積もれば・・・・・・とは言うけれど、山にしてはデカすぎる。俺は初心者冒険者にして、大金持ちに化けたのだ。


(そういえば海外じゃ金持ちはミンティッドって言うんだっけ・・・・・・。)


怒りや悲しみ、喜びや快楽、人間は大きな感情の渦に飲み込まれると、思考が追いつかなくなる。案の定、思考をどこかに置き忘れた俺は、そんなどうでもいいことを考えてしまっていた。


暫く、悦に浸り。俺は、はした金ならぬ、はした石を用いてガチャを回した。


ーーーーーー


『キャラクター名【ロイド・ポリストン】

レア度【☆1 N】

職業【シーフ】』


ーーーーーー


ガチャを回した俺の目の前には、頼りない体つきの少年が立っていた。少年は俺を見上げると口を開いた。


「僕を呼び出じたのは、あなたでじね。初めまじて。ロイドと申じまず。よろじくお願いじまず。」


ズズズッ・・・・・・。と、鼻をすすりながら自己紹介する。


(あ・・・・・・ハズレか・・・・・・。)


どうやら☆1はこのレベルのキャラクターのようだ。挨拶を終えた少年は、返事を待つようにこちらを見つめている。

俺は出来るだけ少年の目を見ないようにしながら、淡々と少年を【素材石】に変えた。


「次だ!」


俺は再度ガチャを回した。


ーーーーーー


『キャラクター名【マサコ・オゴダ】

レア度【☆2 R】

職業【料理人】』


ーーーーーー


「あら~。私を呼んだのはあなた??私はマサコ。よろしくね~。」


ババアだった。いや、女性なのは良い。俺は年齢のストライクゾーンが広いから。だが、それは容姿が整っていたらの話である。ブスのババアに用は無い。


ボシュ~ン


「さあ!次だ!」


ーーーーーー


『キャラクター名【セティア・エーゼス】

レア度【☆5 UR】

職業【聖剣士】』


ーーーーーー


目の前に現れたのは、綺麗な女性だった。整った顔立ちと、健康的な白い肌。長い黒髪は上品に風になびいて、彼女の清廉さを強調させる。凛とした声で彼女は私に尋ねた。


「私の名前はセティア・エーゼス。君の名前は?」


「あっ・・・・・・うっ・・・・・・ミント・・・・・・。」


彼女の美貌にぼーっとしていた俺は、咄嗟に先程まで考えていた単語を口走っていた。まあ、ゲームの中だしこれで良いだろう。本名を名乗る必要はない。


「ミントか。良い名前だな・・・・・・。」


適当な名前に、彼女はそう答えた。


「・・・・・・。」


「・・・・・・。」


沈黙が生まれてしまった。さっきまで、ハゲだのガキだのババアだのと、外れガチャ続きだったので、急に現れた美女を目の前に、不意を打たれてしまった。とりあえず俺は質問をしてみる事にした。


「えっと・・・・・・セティアさんは俺が呼び出したって事で良いんですよね?」


「違うのか?」


セティアは表情を崩さず聞き返す。


「あ・・・・・・いや、俺が呼び出したんだったね・・・・・・。」


しどろもどろだ。だが、俺は確認したいことがあるので続けて聞いた。


「俺が呼び出したって事は、俺が主というか、セティアさんは俺の部下という事で良いんですか?」


俺の質問を聞いたセティアは少し誇らしげに答えた。


「そうだな。私を召喚した時点で、私の剣は君の為にある。そういう意味では主を守り、主に仕えるのが、今の私の使命だ。」


(マジか・・・・・・。)


目の前に美女がいる。そんな美女が主人である自分に仕えると言っている。つまりこれは、俺に命令権がある事になる。


「そうか・・・・・・ではセティア。君に最初の命令だ。」


目の前に美女がいる。初期装備であろう薄手の防具が情欲を掻き立てる。そんな状況で男がする命令なんてただ一つである。俺は全てを投げうつ覚悟で言い放った。




「今から俺はーー。ブリッジをして、顔を向こうに向けます。そしたら君はーー。俺に見えないようにパンツを脱いで、くるりと右回りに1回転して、そしてパンツを穿きなおしなさい!」




ーー自分の性癖をぶちまけた。




この生物は何を言っているんだろう。そんな事を言いたげにセティアは目を丸くしていた。だが、そんな事はお構いなしに俺はすぐさまブリッジをし、顔を逆さまにしたまま言った。


「さあ!これは命令だ!」


セティアは観念したようだ。


「くっ・・・・・・!絶対に見るなよ!!」


ーーーー元来、寝取られフェチである俺は、こういった手が届きそうで届かない、もどかしい感情が堪らなく好きなのである。俺の真後ろでさっき会ったばかりの清楚系美女がノーパンでアラウンドザワールドしている!心地よい風に撫でられて、俺のブリッジは荘厳なるゴールデンゲートだ!ーーーー


ーーーーーー


大仕事を終えた俺は、恥ずかしさのあまり体育座りでうずくまるセティアをよそ目に、揚々としていた。そして、その勢いのまま、次々とガチャを回した。


☆1(男)

素材石。


☆2(男)

素材石。


☆1(ブス)

素材石。


☆3(性別不明)素材石。☆2。☆1・・・・・・。


なんてったって俺には無限の魔晶石がある。ログイン作業バンザイだ!

こうして俺はさらに2人の美女を仲間にした。


金髪ツインのレビィ、栗毛ボブのメルだ。

俺はすぐさま2人に言った。


「自己紹介の前に2人に早速、命令だ!今から俺はーー。ブリッジをして、顔を向こうに向けます。そしたら君達はーー。俺に見えないようにパンツを脱いで、くるくるりと左回りに3回転して、そしてパンツを穿きなおしなさい!」


「は!?なんでそんな・・・・・・?」


文句を言おうとしたレビィにとどめを刺す。


「命令だ!」


「うっ。最低。何でこんな野郎に・・・・・・。」


腰に手をかけようとする。レビィに慌てて言う。


「ちょっと待った!俺がブリッジして向こうを向いてる間にやってくれ!絶対に見せてはダメだ!俺は紳士だからな。」


「はーー!?何で見な、、?いや、、見せたくは無いけど!?はーー??」


訳が分からず、レビィはうずくまるセディアの方を向き、助けを求める。セディアは諦めろとばかりに首を振った。


「うぅ・・・・・・。変態紳士ですぅ・・・・・・。」


そう呟くメルの言葉を無視して俺はブリッジした。


俺の真後ろでさっき会ったばかりのツンデレ美女とロリータ美少女がノーパンでトリプルアクセルしている!朗らかな日差しに照らされて、俺のブリッジは光り輝くレインボーだ!誰にも封鎖できないのである!ーーーー





(続く)

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