92話 会談1-2
オアシスへと向かう途中に義清は鼻歌を歌いながら、騎乗するラハブの首を撫でた。ラハブはゴシゴシと擦られる度に喉を鳴らして首を義清の手にこすりつけた。
それを見ながらゼノビアが横を行くラインハルトに話しかける。
「大殿はいやにご機嫌じゃないか」
「まあ、好みのオナゴを会ったのだから機嫌も良くなるだろう」
「ちょっと、それはどういうことですの!?」
ゼノビアが驚きの声を発するより早く食いついたのは後ろを行くエカテリーナだ。
エカテリーナはベアトリスとラハブに二人乗りをしている。ベアトリスが前に乗り、エカテリーナが後ろから抱くようにして座りラハブの手綱を取っている。
エカテリーナが急に加速するために手綱を取ったのでベアトリスは、脇腹から回されたエカテリーナの腕が急に締まって少し苦しそうにしている。
「どうもこうも、あの帝国の娘は大殿の好みと言うだけの話だ」
「だから、なぜ大殿はあの女を好んでいるか聞いてるのよ」
「大殿は、自分で何でもできて強いオナゴが好みだ。自立していて筋肉質だとなお良い。ああいう自分の思惑や野望のためには他人を押しのけてでも前に進むような。それでいて兵に信を置かれるほどの人としての魅力も有る。ああいったオナゴが好みなのさ」
「じゃあ、私達の事はどうなるっていうの?」
「どうなるって‥‥‥別にどうもならんだろう。お前達のことを嫌っているわけではないし」
「相手が相応の地位にいるのよ!!油断できないじゃない!!」
「いや、別に今すぐどうこうなるという話でもなし。好きだからと言って手を付けるとは限らんし、今でも複数のオナゴと一緒ではないないか。それに友情も育めるかもしれんから好みなわけで‥‥」
「そういう人とは違う亜人独特恋愛感情がいまいち理解できないから苦労してんのよ!!」
エカテリーナは操るラハブをラインハルトの横に器用に寄せると、ラインハルトの首を持って前後にグワングワン揺すった。
堪らなくなったラインハルトはゼノビアに助けを求めたが、ゼノビアはそういうことなら自分にもかなりチャンスがあると思いを巡らせている最中で、ラインハルトの言葉などどこ吹く風と聞こえていなかった。
一行がオアシスに着くとゼノビアが残したオアシス駐屯部隊が出迎えた。
駐屯部隊からオアシスにいるクロディスの民は全て解放されたことが報告された。また、クロディスの民は部族長老会という組織を頂点に置いて運営されていること。その部族長老会が義清たちを歓迎しての宴を開くことも合わせて報告された。
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