72話 襲撃1-5
組頭とヴェアヴォルフの戦士の二人は、女の子の家から飛び出すと右に曲がって通りを疾走した。
貴族軍の兵士の10人ほどの一団がその後を追っていく。
貴族軍の一団からは時々異常事態を知らせる、角笛の音がけたたましく鳴り響く。
その音を聞いて組頭は走りながら苦い顔をして言った。
「忌々しい音だ。隠密もクソもないわ」
「組頭、そろそろ‥‥」
「おう、そうだな。ここらで殺るか」
ヴェアヴォルフの戦士に言われて答えると、二人は走るのを止めて振り向いた。
追いついてきた貴族軍の一団から声が飛ぶ。
「どこの種族か知らんが、今なら牢に入れるだけで勘弁してやる!!さっさと武器を捨てろっ!!」
この言葉に組頭と戦士は思わず顔を見合わせた。
そうして組頭はニヤリと笑うとそれに答える。
「これはこれは、寛大なる処置痛み入る。それでは、こちらもそれに免じて‥‥」
ここで組頭が左手をスッとあげた。
「苦しませずに逝かせてやろう!!」
組頭が大声でそう言って左手を振り下ろすと、左右に建つ家の屋根から弓を構えたヴェアヴォルフの戦士たちが一斉に立ち上がった。
戦士たちは立ち上がると同時に
盾も持たない貴族軍の兵士たちは為すすべもなく、次々と矢の雨にさらされ悲鳴上げる。
かろうじて何人かが後方へと走って逃れようとした。
しかし、その行く手には路地裏から出てきたヴェアヴォルフの戦士たちが、待ってました言わんばかりに飛び出してくる。
勝敗は一瞬で決した。
路上には貴族軍の兵士が、矢を体に大量にあびて死んでいた。
その死体の間を組頭が通りながら、後方の逃げた兵士たちを仕留めた戦士たちに声をかける。
「ご苦労だったな」
「こいつら口ほどにもありませんぞ。こっちを見た途端に逃げ出だしましたわ」
「自分たちが追い詰めている気でいたのが、突然奇襲を掛けられたのだ無理もない」
「じきに敵が集まって来ますぞ。いかがされますか?」
「残念ながら隠密作戦は失敗よ。どうせバレたのだ。
本隊と合流してオアシス中心部を目指す!!」
今回の
別に
やがて戦士が一人
これで敵味方ともに隠密作戦が失敗したことを知った。
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