71話 襲撃1-4

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組頭とヴェアヴォルフ族の戦士は女の子が案内する家の前まで来ると、

女の子に家の外にいるように言い、開けっ放しの扉から中の様子を探った。


中は10畳ほどの大きさの部屋になっている。

入り口の扉の先に少しいくともう1つ扉がある。

そちらにも部屋があるのだろう。

むき出しの土レンガの床の上に絨毯が敷かれ部屋の奥には暖炉があった。

その暖炉の脇にテーブルと椅子があり、そこにクロディスの民の少年が一人座っている。

この少年は少女が言った弟に違いない。

少年は困ったような悲しいような顔をしている。

少年の視線の先、暖炉からやや距離を置いたところにベットがあった。

ベットには少年少女の母親と思われるクロディスの民の女性がいる。


その女性に股がって貴族軍の兵士の一人がいた。

兵士が動く度にベットがギシギシと揺れ母親が嗚咽を漏らしている。


それを見たヴェアヴォルフの戦士は、鼻息荒く怒り出し部屋へと突入しようする。

それを組頭が止めた。

戦士は小声で怒りに声を震わせながら組頭に怒鳴った。




「何をする組頭!? 離せ!! 

 あれが子供に見せるものか!!大人のすることか!!」


「まあ待て、今は堪えろ。それより‥‥」


「これが堪えられるか!! 

 あの子は幼いゆえに何が起こっているかわかっていないだけだ!!

 月日が経てば自分の母親が眼前でなにをされたか知るぞ。

 母親が目の前で子供を守るために我が身を差し出して、

 男に犯されたと理解する。

 そうなった時に自分を責めるに違いない。

 あの男はそれに興奮するからあえて子供の前でヤッているのだ。

 これが堪えられるか!!」


「だから、堪えろと言っているんだ。暖炉の上を見てみろ」




組頭に言われて戦士は視線を暖炉の上へと向ける。

暖炉の上には剣が二振り掛けてあった。

刀身が鉄ではなく石でできている。

このオアシスで祭りが行われる最中にクロディスの民の武器の所持は禁止となっている。

これはあとになってわかったことだが、厳密には鉄でできた武器のみ所持が禁止されており、祭り集まる人々はお守りとして石の剣を持ってくるのだ。

当然石の剣は鉄の剣に比べて殺傷能力も耐久性も含めて、なにもかも劣っている。

お守り以外の用途では使われることは滅多に無い。


組頭は石の剣がここにある理由は知らなかったが、その大きさに着目したのだ。




「上の剣は大振りだ。恐らく父親のものだろう。

 そうすると下の小ぶりなのは母親のものだろう。

 二刀一対にしては大きさのバランスが悪いので、恐らく間違いない」


「組頭、それが何だというのだ!! それより早く‥‥」


「いいから黙って聞け。剣を持っているということはあの女は戦士かもしれん。

 自分のこととして考えてみろ。

 お前は自分のケツの穴を犯した相手を、他人に始末してもらう方がいいか?

 それとも自分で始末をつける方がいいか?

 男女関係なく戦士として聞いている」




そういうことかと戦士は納得した。

組頭からの質問の答えは、当然自分で始末をつける方がいいに決まっている。

戦士として自分を辱めた相手は自分で始末する方が、他人にやってもらうよりずっといい。


他人に委ねると、あとでいらぬ考えが頭をよぎる。

あのとき、こうしていれば辱めを受けなかったのではないか。

もっと別の方法でアプローチすれば違った結果になったのではないか。

そもそもこうなったのは自分が悪いのでないか。

もう一度同じ状況になって自分は相手に勝てるのだろうか。

自分は弱い存在ではないか。

それに比べて相手は強大ではないか。

こうした考えが頭をよぎるが答えはでない。

なぜなら、相手はすでに誰かに殺されて自分で始末をつけることができないからだ。

自分の頭の中だけで相手の存在が大きくなっていき、事あるごとにそれが尾を引き失敗する。


そうした自体を避ける手段は1つ、相手を自分で殺せば良いのだ。


戦士はそっと部屋に入った。今度は組頭も止めなかった。

兵士の後ろに音もなく忍び寄っていく。

少年が戦士に気づいて驚きの視線を向ける。戦士は口に人差し指を立てて静かにしているように合図した。

少年はなおも戸惑っていたが、組頭が気をきかせて扉のところに少女を呼び寄せ同じように合図させた。

少年はいつの間にか姉がいなくなっていることに驚いたが、姉が笑顔で合図しているので安心したようだ。

少年を落ち着かせると、戦士は兵士の背後まで忍び寄った。

行為に夢中で兵士は全く気づいていない。

行為に邪魔になると思ったのか兵士は兜を脱いでいる。

戦士は刀をスラリと抜くと、刃とは逆の峰で男の後頭部を強かに殴りつけた。

兵士は泡を吹いてベットから転がり落ちてピクリとも動かなくなったが、息はあるようだ。


戦士が女性に事情を話すと戸口から少女が駆け寄ってきて母親に抱きついた。

少年も椅子から飛び降りると母親の元へと駆け寄る。

母親は二人を抱きしめながら戦士に何度もお礼を言った。




「おい、いつまで盛ってるんだ。そろそろ交代の‥‥」




その時、突然入り口の向かいにある扉が開いて、貴族軍の兵士が一人部屋へと入ってきた。

兵士は部屋の状況を見て理解が追いつかなかった。

組頭が戸口から素早く兵士に飛びかかる。組頭に押し倒された兵士は隣の部屋へと倒れた。

組頭は腰から短刀を抜いて兵士の喉に突き立てる。

あっという間に兵士は絶命した。




「あっ、何をする!!」




その声に組頭は部屋を見回す。

驚いたことに部屋には貴族軍の兵士が何人もいた。

実はこの部屋は貴族軍の兵士たちの詰め所になっていた。

兵士たちはここから交代で見張りに立ち、休息する組がこの部屋で待機していたのだ。

そうとは知らない組頭たちは、その隣で人助けをしていたのである。




「クソっ、下がれっ!! 見つかったぞ。迎え撃て!!」




組頭は大声で指示を飛ばしながら、息絶えた兵士から短刀を抜くと建物から飛び出した。

戦士は母親と少年少女にベットの下で待機するように言って組頭に従い建物を出た。

貴族軍の兵士たちも二人を追って建物から駆け出していく。

そして一人の兵士が角笛を取り出すと吹き上げる。

甲高いけたたましい異常事態を知らせる音がオアシス中に響き渡った。

ここに隠密作戦は完全に失敗に終わった。


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次回更新予定日 2020/5/10

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