第10話   頭の中を覗けたならば

「あの人は変わっている」「変な人」「ちょっとおかしい人」「ずれてる人」

 これらの言葉を、耳にする機会があるだろう。もしかしたら、あなた自身がよく口にしているかもしれない。

 さて、変な人とか変わった人というのは、どういう意味での「変わった人」なのだろうか。

 考え方が明らかに違う人間はいる。それは異常ともいえる人。猟奇的な感じがあれば、それはもう、普通ではないかもしれない。

 だが、それとは別の意味で「変わった人」などと言えば、その場合、大体が「自分と違う」とか「考え方が違う」という意味だろう。つまりは、「自分から見て変」という意味だ。

 どこでも言うのだが、人間の物差しの基本は『自分自身』である。自分の目で見た物、見たことしかわからないし、体験しないことは想像するしかない。人の頭の中は見られない。

 ゆえに、考え方の中心は自分であり、自分と違う考えは『変』となる。魚が嫌いな人は、好きな人を「信じられない」と言い、酒が嫌いな人を、酒好きは「楽しみが無いやつ」という。

 人の頭の中を覗けたなら、もうすこし世の中分かり合えると思う。残念ながら、頭を割っても、考え方はわからないけれど。

 

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