第9話 約束は、結ばれるよりも、縛られる

「ごめんなさい、約束があるから」

 古今東西、よく聞かれる話である。多くの人が口にしたことがあるだろうし、口にされたことがあるだろう。

 約束。これは、誰かと誰かが結ぶものだ。未来において、互いに取り決めること。そのように辞書にはある。だから、一人では約束にならない。

 だいたい『自分自身に約束をしている人』という存在を私は聞いたことが無い。自分で自分に約束するというのは、出来レースというべきか。嫌な約束なら反古にして、いい所だけを取ることが考えられる。

 例えば、今日からダイエットすると決めたけど、明日からにして、今日だけはおいしいものを食べよう。といった具合。

 話が逸れた。戻します。

 約束とは、あなたとあなた以外の誰かが結ぶ場合がほとんどだろう。

 それはあなたもあなた以外の人も縛るもの、ということになる。

 縛るとは、『約束は守らなければならない』という責任が、大体の人にはあるからである。時には、約束を破っても気にしない人、というのが存在するが、それ今は置いておく。

 時間を守る、場所を守る、日にちを守る。それが約束。

 もしこれを破れば、約束したお互いに、不利益が降りかかることになる。

 電車に間に合う時間に起こしてと約束したのを、もし起こさなかったとしたら、片方は電車に乗り遅れ、片方は約束を守らなかったと怒られることになるわけだ。

 これくらいならば、まあ、かわいいものだろう。が、もし何十億の契約などとなったら、かわいいでは済まされない。

 だからこそ約束とは、お互いにお互いを縛るものである。

 加えて、約束を無理やり締結させられる場合もある。もしお互いに条件が合えばいいが、不条理な条件での約束ならば、無理やり約束させられた方は、場合によっては泣きを見ることもある。

 最初に言ったが、約束は誰かと誰かが結ぶもので、お互いを縛るものだ。

 それが嫌ならば、人にかかわらないのが、一番楽な方法といえる。

 不用意な約束で、不利益を被らないようにしよう。

 

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