結論
「そう、ルサールカが女性のみで構成されるとするならば、それは正しく、数多の文化に於いて豊穣の神の座に女神を据えるのと同じ。女性の持つ産み出す力に
同時に、ルサールカ達は未だ母ではない、未婚の娘として生を終えたものだ。原始的なシステムに於いて、このような娘は本来、結婚を経て次代の産出と養育を、即ち母となる事を期待される。
或いは
「成程、見えてきたわよ。それだけの力があるのにそれを消費せずに終わったから、なのね? 元来の意味での処女信仰という事かしら」
「うむ、
この溝を掘る際は村の女達が付き添った上で、未婚の娘が鋤を引くという儀式がある。これは家畜の死に対して、女達の生の力で対抗していると考えられるが、肝心要の鋤は未婚の――社会上の処女である――娘に託されている。
これにより、生の力をより強く行使できるのは未婚の――社会上の処女である――娘であるという意識が、この文化圏にあったと考えられる。この溢れんばかりの力が、本来果たすべき
再びライ麦畑に目を向けた彼女は、そう、と呟いた。
「そう。そうなのね」
「その上で、だ。セミークに於けるルサールカに纏わる各種儀礼は、若くして死んだ娘の持っていた行き場を失った
「嗚呼、嗚呼、成程。そう、だから、彼女は――」
実りを予感させる花穂を天に掲げる緑のライ麦が風に
ざあ、と吹いた風が、土というには滑る湿った匂いを彼と彼女の鼻先に運び、髪にその身を絡めて過ぎる。
「――こうして、笑っているのね」
「ルサールカを祖霊と考えれば、おそらく其処にあった個は
であれば、彼女の主観としては――個ではなく、群としての意識では――永い
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