乙女の役割
「むかぁしむかしの社会構成、ね? 今の価値観からすれば、時代遅れで当然だけれど」
「そうだ。それが悪か善かという話は全く別の話だが、原始的な社会というシステムに於いて、人はカテゴリで分けられる。大きなカテゴリとしては、一に童、二に若者、三に老人、四に枠外の者――この内、二に於いては更に細分化が可能だ。第一に未婚か既婚か、第二に男か女か、だ。細分化の第一はともかく、第二の男女という条件については、そも、この若者という区分の条件を鑑みれば、童と老人については考えなくともよい。
原始的なこのシステムに於いては、決まった年齢ではなく、子を成す事が可能になった時点が童と若者の境だ。より短絡的に言えば、本来は、人間という生物を存続させる為の有効手段を持つ若者という区分こそがこのシステムの主軸であり、童と老人という区分は、それに至る前か衰えた後かでしかない。四については枠外である時点で、通常同じ土俵には上がらん。上に助言者や脅威として立つか、下に排除されるべき存在として立つか、だ。
この文脈上、
「つまり、ルサールカは童と若者をひっくるめた、未婚の娘――即ち社会上の処女だと貴方は言いたいのね?」
「さよう。その上で、先程述べたルサールカが豊穣を齎す条件について検討すべきだ」
さらさらと切り揃えた髪を揺らしながら彼女は首を傾けて、先程話題に出た条件を口にする。
「彼女達が陸地で踊る事。それが条件。其処に供養をするという条件は含まれない」
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