論理のはじめ

* * * * *


「おい、行くぞ」

「あら、お話は終わって?」


彼の呼びかけに彼女は棚の品々から視線を外して、ころころとした、甘やかな声で問いながら、ちょこまかと歩み寄る。


「ああ、聞きたかった話も聞けた」


そう言いながら開けたドアを彼がくぐり、続いて彼女が潜る。


ようやく結論は出て?」

「推論はまとまったさ、君に聞かせられる程度にはね」


彼は彼女に優しい視線を向けながらそう言う。


「あら、それじゃあ、聞かせて頂戴な」


彼女は彼に向けて、嬉しそうに、上品にとろりと微笑みかける。

彼は大股でゆっくりと歩きながら、語りの口火を切った。

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