第6話 美樹の夢

拓哉がこっちをじっと見ている。


一体どうしたんだろう。


するといきなり拓哉が抱きついてきた。


「ど、どうしたの? 拓哉」


「美樹の胸はいいな、心地いい」


「えっ? そんな事を言わないで恥ずかしい」


「美樹の胸に顔を埋もれていると安心する」


「そ、そうなの?」


「ああっ、そうなんだ」


「う、嬉しいけど、離れてほしいな」


「……」


「拓哉?」


「美樹……」


「拓哉どうしたの?」


「俺お前と婚約と結婚を婚約破棄させてもらうな」


「えぇっ! どうしてなの?」


「俺とお前じゃ釣り合わないよ、このブスが」


「なんてひどい事を言うの」


「ブスが早く浅野邸から出て行けっ」


「わかった、出て行くよ」


私は浅野邸を出て行く。


そのまま自宅に戻って家の鍵を開けると中に入る。


玄関で靴を脱いで上がる。


リビングにいくとソファーに座って休んでいる。


「結局、私は結婚できそうにない」


「婚約破棄されてばかりだ」


私はもう異性との恋愛するのが疲れた。


もう結婚なんてしなくていい。


このまま独身でいいと感じた。


私の人生はおしまいね。


その時だった。


インターホンが鳴る。


私は玄関に行く元気がない。


どうすればいいのだろう。


出なくてもいいよね。


私は疲れたのでソファーに横になって寝ることにした。


「美樹、美樹、美樹、起きろ」


「んんっ……んんっ……拓哉?」


「なんだよ、急に寝て、びっくりしたよ」


「ご、ごめんなさい」


今の事は夢だったんだ、良かった。


そうよね、今の私と拓哉はラブラブなのに別れるなんてないよね。


それに婚約と結婚をするという約束もしているのに……。


「どうしたんだ? うなされていたな」


「そのね、悪い夢を見てね」


「どんな夢だ?」


「拓哉に振られる夢と婚約破棄されるの」


「それはひどいな、美樹はきっと疲れているんだな」


「そ、そうかもしれないね」


私はきっと疲れているのでしょう。


このまま休んでいたいけど、休めない。


せっかく浅野邸に遊びに来ててしかも拓哉のお部屋に居る。


拓哉との時間を無駄にしたくない。


その時だった。


私は急に前のめりになって倒れた。


「美樹、大丈夫かっ!?」


拓哉が私の身体を揺するが起きない。


また拓哉が私の身体を揺するが起きない。


「まいったな、疲労結構溜まっていたのか」


「仕方がないな、美樹は」


拓哉は私の事をお姫様抱っこをしてくれている。


私は目を覚ますと拓哉の顔が近かった。


「た、拓哉、ごめんなさい」


「美樹、目が覚めたんだな」


「う、うん」


「拓哉、そのね、恥ずかしい」


「恥ずかしくてもダメだな、ベッドまで連れていく」


「はい、私の王子様」


「王子? 誰がだ」


「拓哉が王子様みたい」


「なんでだ?」


「だって、お姫様抱っこしてくれているし、私ね、こういうのに憧れているの」


「そ、そうなのか、美樹はそういうのが大好きなのか」


「うん」


私も拓哉も今は黙っている。


するとベッドまで来たようだ。


拓哉がベッドまで運んでくれた。


私はそれがとても嬉しかった。


「あの、運んでくれてありがとう、拓哉」


「気にするな、美樹は疲れているんだ、ベッドで休んでていいからな」


「うん」


結局、秘書のお仕事の事で来たのに倒れている私って何なのよ。


本当に情けない。


まぁ、拓哉も休んでていいよって言うから、休む事にしたのだった。


私は目を閉じて眠る事にした。


すると私は寝息を立てて寝ている。

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