3 恐怖の追撃者! 群馬より散弾をこめて!

 ヴァオオオオオオオオンンンン!!!


 東京都、シン・巣鴨を目指しモーターバイクで爆走する神風兄妹かみかぜきょうだい

 栃木県から東京都までは直線距離でも100キロ以上!

 時速300キロ以上出るテング三式であるが――

 道は直線とは限らない! 信号が赤であれば当然停まらなければならない!

 時間の余裕はないのだ!


(現在午前十時……決勝会場へのタイムリミットまで約二時間!

 なんとかギリギリ間に合うか……!?)


 少しでも時間を稼ぐため高速道路に進入した神風兄妹。

 速度を上げ次々と前方の車両を追い抜いていく!


「――兄上ッ! 来ますッ!!」

「ッ!!」


 神風トオルの背中にしがみつく妹、ルリが合図!

 セーラーJK服越しに妹の右オッパイ圧が高まる!

 トオルはそれを受けて車体を右に振る!

 ――直後!


 バゴン!! チュドオオオオオオン!!!


 トオルの前を走っていた車両が穴だらけのレンコンと化し、爆発!

 木っ端みじんとなる!


「ちいいい! 振り切れないか……!!」


 背後よりトオルたちを襲うのはショットガンによる攻撃!

 CIAの包囲網を突破した神風兄妹を待ち受けていたのは――!


「ヒャッハー! 逃がさねえぜえええ!!」


 スキンヘッドに掘られた――炎模様の禍々しいイレズミ。

 ノースリーブの革ジャンを地肌の上に直接着込むファッションセンス。

 その手には改造ショットガン!

 違法薬物をキめたその男は――

 群馬県出身の賞金稼ぎ、ヤーキー・マンジューである!


 シャコンッ!


 ショットガンのグリップを往復させ弾薬を排出、装填する!


「こらああああ!! ヒモカワああああ!!

 もっとスピード上げんかいいいいいい!!!」

「へ、へい! 親分!」


 ヤーキーが乗るのは軽トラック、その荷台!

 荷台が前にくるよう前後を逆にした違法改造車である!

 運転するのは同じく群馬県出身、ヒモカワ・コウジ。

 目に余るつまみ食いによりパン工場をリストラされた小太りの男。

 第二の人生に賞金稼ぎを選んだ狂人である!


 ギュウウウウウイイイイイインンンン!!!


 改造軽トラックのエンジンが悪魔的に唸る!

 荷台でショットガンの銃口をしゃぶるヤーキー!


「ケケケケケ! オイチイ! オイチイなあああああ!!」


 彼がキめているのは粉末こんにゃくと違法薬物の混合物!

 主に群馬県内で流通する悪魔的ドラッグだ!

 ヤーキーの狂人ぶりに磨きがかかる!


「はわわ、兄上! 追いつかれちゃいまする!!」

「狂人め……!」


 五千馬力を誇るテング三式に引けを取らない改造軽トラ!

 徐々にその距離が狭まっていく!


「貴様ぁ! 何ゆえ俺たちにつきまとう!!」

「知らんのか! 神風トオル!

 地球ファイターにはなああああ!

 アメリカが高額の賞金を懸けているのだああああ!!

 特にお前の首にはあああ! 破格の百万ドルよおおおお!!」

「なんだと!! 聞いてないぞ!!」

「賞金かけるのによおおおおお!

 いちいち断りを入れるかこの田舎もんがああああ!!」


 バゴン!

 シャコンッ!

 バゴン!

 シャコンッ!

 バゴン!

 シャコンッ!


 ヤーキーがショットガンを連続発射!

 妹のオッパイ圧を頼りにテング三式を左右に振り、弾丸を回避する神風トオル!

 流れ弾により一般庶民の車が次々と爆発する!


「くっ……! 一般庶民を巻き添えにするとは!

 貴様には人の心がないのか!!」

「ヒャハハ! どのみち地球ファイターに関する殺傷行為は法の適応外!

 一般庶民の心配をするなら大人しく死ねい!!」


 地球ファイター! 米軍! CIA!

 そして賞金稼ぎ!

 次から次に神風トオルへと襲い掛かるバイオレンス!

 地球ファイト決勝会場に辿り着くのは……容易ではない!


 ヴァイイイイイイイインンンンン!!


「グヘヘ! 追いつきますぜ親分んんんん!!」


 アクセルを悪魔的に踏み込むヒモカワ!

 改造軽トラックのタイヤが煙を吐く!


「もう! 来ないでよ! この狂人野郎!」


 トオルの背中にしがみつくルリが反撃!

 JKスカートのポケットに入っていた小石や飴玉、ゴミを投げつける!


 ポイポイ! ポイポイ!

 ポコポコ! ポコポコ!


「ウヒーヒヒヒ! そんなもんが通用するかこのメスガキ!」


 地球ファイターすら仕留める賞金稼ぎ、ヤーキー。

 美少女JK程度の攻撃にはビクともしない。

 ――はずであるが!


 グサッ!!


「ぎゃああああああああ!!??」


 ルリのポケットにたまたま入っていた手裏剣がヤーキーの額に命中!

 鮮血がスプリンクラーのごとく噴き出す!


「いやー! グロい! 狂人の血グロい!」

「こ、このクソJKめがああああ!!」


 バゴン! バゴン! バゴン!


「キャー!」

「ッ!? ルリ! 大丈夫か!?」

「はわわ、セーラー服に穴が!」

「おのれ……おのれ外道めええええええ!!!」


 神風トオルは常に冷静沈着。

 多少のことでは動じない山のごとき精神力を持つ。

 だが! 愛する妹のセーラー服を傷つけられたことで激昂!

 地球パワーの高ぶりによりその身体が青い光に包まれる!


「ルリ! 運転できるか!?」

「任せて! こう見えても栃木県国際運転免許皆伝(注:いわゆる無免許である!)よ!」

「さすがは我が妹! ならば……!」


「「とうッ!!」」


 トオルとルリがその場で跳躍!

 空中で交差し――ルリがテング三式のシートに着地!

 ハンドルを握りコントロールを得る!

 一方、神風トオルは――


「人の心を持たぬ外道! この俺が成敗する!!」

「ヒャッハー! 頭を吹き飛ばしてやるぜええええ!!」


 トオルは拳に地球パワーをこめ、上空から軽トラックに迫る!

 それを荷台から迎え撃つヤーキー・マンジュー!

 改造ショットガンの狙いをつける!


「てめえの首にかかる賞金はあああああ!!

 デッド死体オアでもアライブオッケーよおおおおお!!!」

「受けよおおお!! 我が地球真拳をおおおおおおお!!!」


 地球パワーの集束によりトオルの拳が強力に発光!

 その輝きは地球の色、青色だ!

 青く発光する拳で力いっぱい殴りかかる!

 これが! 地球真拳の必殺技!


「必いいいいいっ殺!!

 地球パアアアアアアンチ!!!」

「ケヒヒー! もらったあああああああ!!!」


 バゴオオオオオンッ!!


 ショットガンから悪魔的散弾が吐き出される!

 成人インド象も一撃でひき肉ミンチと化す恐ろしい威力だ!

 ――しかし!


 ギャインンンッ!!


 地球パワーを高密度でまとったトオルの拳がそれを弾く!


「んなにいいいいいいいい!!??」


 グシャリ!!!


 地球パンチがヤーキーの顔面に直撃!

 地球真拳とは地球のパワーを自在に操る拳術!

 地球パワーが込められた拳は――

 その衝撃は! 

 そのままヤーキーごと改造軽トラックを叩き潰す!


「「ぎゃああああああああ!!!」」


 チュドオオオオオオオオンンンン!!!


 違法改造軽トラが爆発! 木っ端みじんとなる!

 トオルは爆風に乗りルリの運転するテング三式へと戻る!

 爆発の炎が地平のかなたへと消えていく!


「おかえり兄上!」

「ああ……手ごわい相手だった……!」

「しばらく私が運転いたしますゆえ、身体を休めてくだされ!」

「すまんな、甘えさせてもらおう。

 無理せず……安全運転でな!」

「うん! じゃあしっかりつかまっててね!」

「うむ!」


 ギュッ!


「あんッ!」


 ヴァオオオオオオオオンンンン!!!


 急加速するテング三式!

 あまりの瞬間的超加速にウイリー走行となる!


「ど、どうしたルリ!

 そんなに速度を出して大丈夫か!?」

「す、すいませぬ兄上……!

 ……!」


 顔を赤らめるルリ!


「す、すまない! デリカしさが足りなかったな!

 俺はなんて情けない男だ……もう一度やりなおす!」


 ルリの腰にまわしていた腕を戻すトオル!

 今度はゆっくり……やさしく……ソフトに……!

 背中から脇腹……そしてヘソの辺りへと……指先を這わせフェザータッチング行為!


 さわわわわわわわ……!


「あぁぁぁぁぁああんんんんんんううううううぁぁあああ――ッ!!!」


 ギュヴァオオオオンンンッ!!!

 ヴァオンッ!! ヴァオンッ!! ヴァアアアアオオオオンンンン!!!


 神風ルリはエビ反りフルスロットル!

 テング三式は限界を超え時速400キロを突破!

 前方の車両を踏み台に大ジャンプ!


「ルリ! 飛んでる! 俺たち飛んでるぞおおおおお!!」

「ンアアア――ッ! 兄上ッ! 兄上ええええええ!!!」


 おお、見よ!

 青空に飛び立つ赤きテングの姿を!

 太陽の光を受けきらきらと輝く神風トオルの瞳!

 そしてだらしなく垂れる神風ルリのよだれ!

 爽やかな悪魔的空気抵抗を受けながら――

 二人は束の間の解放感を味わう!


 ――直後に迫る、悪魔的危機に気づくまで……!


 ◆◆◆


「――見つけやした! キャプテン!」


 鉄カブトを被った男が望遠鏡を覗きながら叫ぶ。

 彼が捉えたのは空を舞うテング三式と――

 それを駆る神風兄妹の姿である!


「本船右側35度! 目測で距離一万二千でさあ!!」 

「ぃよおおおおし!! 機関出力最大!! 面舵いいいいい!!!」


 ひと際大きな声で指示を出す大男!

 ニョキリと二本の角が生えた黒光る鉄カブト。

 顔の半分を覆うサンタクロース的ヒゲ。

 トゲトゲのついた肩アーマー。

 ムキムキマッチョの胸毛ボディ。

 いわゆる世紀末的バイキングの恰好だ!

 そう! 彼こそは!

 世界中の海を荒らしまわるパイレーツ海賊団の船長であり――

 ノルウェー代表地球ファイター!

 その名もデス・バイキング!


 バキバキバキバキ!!!


 そして建物家屋を破壊しながら進むのは――なんと巨大な海賊船!

 彼らの乗船する水陸両用超大型武装船『ビッグ・サーモン』である!


「ガハハハハ! 地球代表! 首を洗って待っておれい!!」

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