第9話 学級委員を決めよう

翌日、朝のホームルームの時間の時。


「ほーい、皆聞けー」


先生の一声で五月蝿かった空間が静まった。


「さて、突然なんだが、これから学級委員を決めて貰うぞー」


学級委員か。

昔はよくやったものだ。

オレは中学生の頃、大体は学級委員に立候補していた。その際は全く上げる人がいないわけでそのまま学級委員になってクラスに貢献しようと頑張っていた。


確か、中学二年生の時に一度だけオレともう二人立候補し投票が行われたことがあった。

その際もオレが勝ち普通にオレがやることになった。

懐かしいな……元気かな、一郎、駿介………。


まあ、オレは確かに今まで学級委員には積極的だった。しかし、もう高校生活では学級委員に立候補することはないだろう。何故ならば、目立ってまた一人になれなくなることを防ぐためだ。


只でさえ体力テストのせいでここまでオレが苦労しているのだ学級委員だなんてたまったものではないのだ。


「じゃあ、女子から決めるぞー。学級委員、やりたい奴はいるかー?」


先生がそう言うとある場所からピシッと手が挙げられた。

その手を挙げた者は、クラスの人気者、姫川だ。


「おっ、姫川か。よし、他にやりたい奴はいないなー。じゃあ、女子は姫川に決定だ」


女子は姫川にすぐに決まった。中学のオレの時もこんな感じだった。

そんなわけで女子学級委員になった姫川は司会の役を承った。


「はーい、それじゃあ男子の学級委員決めまーす!やりたい人いますかー?」


姫川がそんな風に言った、刹那。


『はいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはーーーーーーい!!』


クラスの大半が手を挙げた。

うおっ。マジか。

姫川は「ええっ!?こ、こんなに!?」とあからさまに驚いているようだった。


「こんなに多いんじゃあなぁ。あっ、ちなみに私は天谷君にして欲しいな~♪」


姫川の爆弾発言によりオレに男子から怒りと嫉妬の目線が向けられる。

おい、姫川コラ。

てめえ、なんでよりにも寄ってオレなんだよ。また、面倒臭い感じになりそうなのでオレはやる気はないことを示そうとする。


「あー、オレはやる気はない。だからコイツらで………」


しかし、言いかけるがプリンセス姫川の発言の威力は異常なものですぐに男子の導火線に火がつく。


「姫川てめぇ………どこまでもどこまでも……」

「手をにぎにぎされただけでは飽き足らず……」ふざけんじゃねえぞ………」

「この野郎……」


もう、ヤバいよ。本当にヤバいよ。

かなり修羅場になっているよう。皆聞く耳持ってないよう。

というか最後のこの野郎って言ったの先生じゃなかった!?


「しかし、天谷を相手に勝つにはどうしたものか……」


だからオレ、やる気ないから。

なんでやる前提で話しが進んでんの?

その上になんで戦う事にまでなってんの?


「ふむ、それなら……」

「腕相撲で勝負だ!」


だからなんで先生が言うの!?

腕相撲と提案してきたオレ達のクラスの副担任の先生、河合宗太郎かわいそうたろう、御年26歳。独身。

彼女がいた歴0年。モテ期あったことなし。


顔は少しイケメンだと思うのだが、どうやらモテたことなどなかったらしい。自己紹介の時に泣きながら言っていた。 


細身でありながらかなりの筋肉質でちなみに体育の先生をやっている。


どうやらクラスの皆河合先生が言ってくるとは思わなかったらしくあからさまに驚いていた。

まあ、そりゃ驚くわな。


「ちなみに……腕相撲では……誰が相手に」

「勿論、この俺だ!」


まさかの、相手が先生である。

ちなみにオレはもう戦わない方法を考えることをやめた。諦めた。

戦って技と負けた方が良いとみた。

というか、先生を倒してオレがやらなくても良い事になっても後の事考えられてなくね?


「あの、なんで先生が………?」

「天谷は姫川と仲が良すぎる!全く持ってうらやましすぎる!」

「せ、先生!俺達はもう、同志です!」

「おう!」


男子殆どfeat先生。まさかの同盟関係ができてしまった。

しかし、何故ここまで皆に憎まれなければならないのか。むしろオレが姫川を憎みたい。マジで、ガチで。


「じゃあ、先生、頑張って下さい!」

「おう、任せておけ!さあ来い!天谷!ひねり潰してやる!」

「腕相撲でひねり潰すは可笑しいだろ……」


オレはトボトボ教壇に向かう。

そして、教壇に肘をつけて向こうの先生の手を握った。

やはりというか流石というか、かなりの筋肉がついていることが分かった。


「さあ、天谷をぶっ潰す事は出来るのか!それではレディー……………ゴー!」


不平等な実況と共にオレと先生の戦いの幕が切られた。

なんだこの茶番。



     ☆     ☆     ☆



その日の弁当、屋上で。


「マジで、本当にふざけんなよ……」

「もう、決まったことをぐちぐち言ってもしょうがないでしょ」


屋上で桃鶴と弁当を食べていた。


「あ、その唐揚げくれ」

「別にいいわよ」


オレは喜びながら唐揚げを箸で取ると口に運びムキュムキュと食べる。


「………………………………ってなんであんたがいんのよ!!」

「いや、遅すぎるだろ」


タイムラグがエグい。

オレは桃鶴に屋上に来るなと言われていたが、普通に来た。いや、だって結局学級委員やることになったし。


まず、あの腕相撲だが結果から言えばオレの勝ちだ。

オレは技と負ける気でいた。しかし、力を抜きすぎても怪しまれるのである程度の力を入れながらやるつもりで。

んでもって、でも先生だから本気でいいかと本気で腕相撲をした。結果、普通に勝った。そして、オレが学級委員をやるハメになった。


まあ、そんな奴らと同じ教室で食べるのもあれなのでオレはここに来たわけです。桃鶴の事など知らんこっちゃ。


「ナチュラルに唐揚げ奪うな!」

「お前から許可は得たぞ」

「いや、普通に自然過ぎるから言っただけだから!」


終わった事はもうしょうがないだろ。まあ、学級委員になったことをぐちぐち言ってるオレも人のこと言えないんだけど。


「…………もういいや。多分あんた何度言ったって来るでしょ」

「ああ、やっとわかったか」

「天谷、あんた悪い奴でもなさそうだし別にいいわ。これから来ていいよ」


かなり偉そうな言い方だが、兎にも角にも権利をゲットした。


「話戻すんだけど、学級委員の事今更愚痴っててもしょうがないわよ。諦めなさいよ」

「ああ、オレもそう思った…」

「いいじゃん。あのクラスのマドンナ、姫川と学級委員出来るんだし」

「むしろ嫌だわ。普通にお前の方がまし」

「まあ、あの男子の様子だとね」


姫川に対しての嫌い嫌いゲージが今回かなり上がった。まあ、人としては好きなんだけどな。オレの一人を阻んで来たからそうなっただけなんだけ。ともかく頑張ろうとオレは心に訴えた。




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