第7話 体力テスト その二
あれから、本当に種目を終える度に霧島はオレに話を掛けてきて勝手に競争をしていた。
殆どが霧島が勝っており時々オレが勝ったりもした。また、クラスの男子で同盟を組んでいる奴らに毎回勝負を挑まれていた。まあ、不謹慎だけれども全員に勝った。
さて、そんなわけで体力テストも残すところ後わずかである。
残った種目はボール投げ、そして握力である。
まず最初はボール投げだった。
「さあ、この姫川さんとにぎにぎする権利を貰えるこの戦い。このボール投げの代表はコイツだ!」
「僕だ」
淡島の実況と共に現れたのは
「さあ、それじゃあお願いします!」
「任せてくれ。僕も姫川さんの手をにぎにぎしたい」
そう言ってボールを強く握り、そして大きく振りかぶる。すると、急に顔が劇画チックに変わる。そして、彼は叫んだ。
「どぅおぉらぅぁぁぁぁぁ!」
見た目からは想像することも出来ないような言葉を放った彼のボールは大きく空へと飛んでいきそしてかなり遠くで落ちた。
「記録、56.5です!さあ、それを天谷は越せるのか?」
「本来の番号順無視してやらせて貰ってるし申し訳ないからさっさと終わらせるぞ」
そう言ってオレはそそくさとボールを手に取り投げた。
五割ほどの力で。すると、先程の彼よりも更に遠くへ飛んでいきそして地面に落ちた。
「………き、記録、61.2………」
「はい、ラスト、握力いくぞ」
なんかもうそろそろ飽きてきた。
ちなみに霧島は62.4だった。流石主人公。
☆ ☆ ☆
ラスト、握力となったわけだが、オレはまたギャップのあるキャラクターが出てくると思っていた。しかし、次なる刺客は見た目がそのままの男だった。
「握力代表、
現れたのは大胸筋がエグいほどに出ておりまたそのほか至る所の筋肉がムキムキのちょうマッスル体質の男である。こんな奴、ギャグ漫画以外に見たことねえぞ?
「よろしくぅ!この俺はボディービルダーを目指し日々鍛え続けた鍛錬の証だ。この力を使って俺は!姫川さんの!手を!にぎにぎする!」
それはそうと思ってたんだが、にぎにぎって言い方がキモくね?
「彼は去年、75という記録を出している!さあ、果たして今年はどうだ!」
金剛力は握力計を両手に持つと息を吸って吐いてと心を整える。そして、彼は目を閉じ数秒。そして、目を開けば力を入れ握力計を握り潰しに行くような顔で握っていた。
「さあ、全力の一発果たして結果は………84キロだぁ!これは流石に無理だろう!さあ、男子群よ!喜べぇ!バンザーイ!バンザーイ!」
「何でわざわざ握力計二つ使ったんだよ。一つでいいだろ」
オレは彼らの事など知らんぷりし独り言ごちにそう言う。
ごめんね、内のバカ共が。
オレは握力計を一個渡した後オレはまず右腕で握力計を握る。
「さあ、もう勝負はついたが果たして結果は!………92……だと………?」
「左もやるぞ…………ほい」
「…………90………」
「オレの勝ちだな。はい終了」
この勝負に全てオレは勝利した。コイツら雑魚過ぎるだろ。
すると、霧島がやってきた。
「握力どうだった?」
「右が92、左が90だ」
「それって結構凄くない?俺でも両方75だぞ?」
まあ、昔から握力だけは異常に強かったのは覚えている。
そんなこんなでオレはこの体力テストを終わった。男子勢からの嫉妬に満ちた眼差しを受けながらオレは教室に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます