第5話 結局発動
この二人の運命(?)の戦いは数分で幕を閉じた。
結果から言えば。
「んだよコイツ、結局雑魚じゃねえか」
霧島の負けである。
結局あの後も霧島の拳が当たることはなかった。何故なら、それを全て受け止められたから。
あろう事かカウンターも何回も炸裂し、最後には飛び蹴りを決められ沈んだ。
彼の美顔は酷く傷だらけで見るだけでも痛々しさがわかる。
また、その口からは血が吐いた跡が残っており、口から顎にかけて赤い液体が垂れている。
どうやら、霧島は油断をしていたらしい。
最初にボコったあの三人が超がつくほどの雑魚でどうやら一番不良っぽくないあの男が一番強かった。
オレから見るに恐らく霧島もそう思っていたのだろう。そして、それが仇となったわけだ。
油断大敵とはこのことである。
「んで、お前はどうすんだ?」
「ん?どうするも何もなくないっすよね。そもそも仕掛けてきたのそっちですし」
「あ?」
いや、そんな風に睨まれましても。
「まあ、オレが出来ることと言えば」
と、オレは言って懐からスマホを取り出す。そしてロック画面から緊急通報を選択し110を選択。
「………おいお前、今誰に電話かけてんだ?」
「え、警察ですけど」
「アホかぁぁぁ!」
ふざけんじゃねえよ!とオレに振りかぶり殴ろうとするが、オレはそれをサラッと避ける。
『はい、こちら─────』
「あ、すいません、警察ですか?今不良に襲われてて──」
「今すぐ切ろぉぉぉぉぉ!」
オレに対してナックルが一発、二発、三発、と殴るもそれを全て避けていく。
そして今度は回し蹴りをするので下にしゃがみ込みついでにオレが回転しながら足に蹴りを入れ相手のバランスを崩す。
「うわっ!」
彼はそのまま倒れる。
オレは未だに警察に電話している。
『分かりました!すぐに向かいます!』
「はい、よろしくお願いします」
オレは携帯を切った。
よし、これで土台は出来たな。
ここからが本番だ。
「てめぇ、クソやろぉ!」
転んだ状態から先程のオレと同じように蹴りを入れようと回るがそれを飛んで避けるそして、その後に彼が立ち上がるとまた、殴ってくる。
まだ少し、時間を稼ぐか?
一瞬そう思ったが。
「オラッ!オラッ!オラッ!オラッ!」
コイツ、うるせー。
そんなわけで終わりにします。
彼がオレに渾身の一撃を加えようと振りかぶる。
「死ねぇぇぇぇ!」
「ば◯ごー君かよ」
その拳をオレは受け止める。
そしてオレは手を握り締めそして、彼の顔にオレは一撃を入れてやった。
バキィィィィィ!と音が鳴り響き彼は吹き飛んだ。
天谷、ワンパンチである。
いや、コイツらが弱いのか。
霧島を含め。
さてと、後は簡単ですね。
オレは霧島を立たせて壁にもたれかからせる。
そして、その霧島の顔に思いっ切りのビンタをする。
オレの必殺、目覚ましビンタ~天谷杏夜の思いを乗せて~である。
このビンタで起きなかった奴はいない。
今回は男性バージョン。
いつもは姉ちゃんや妹を起こすために少し弱めだが、今回は男なので思いっきりだ。すると、彼が薄目になった。なので、ビンタした俺は全速力で逃げた。
よし、これでうまくアイツを不良を倒した男だとでっち上げる事が出来るな。
☆ ☆ ☆
翌朝、教室は昨日の騒ぎの話で持ちきりであった。
ある、一人の高校生が不良四人組に襲われたが全員をぶっ飛ばした、という風にこの高校ではニュースになっていた。
と、噂をすれば。
「皆おはよう」
主人公、登場である。
その傷は新しく顔には治癒されたように色々と張られている。
彼はそんな風にもみくちゃにされていた。
この出来事は更に彼の人気度を上げることになった。
☆ ☆ ☆
今日の放課後である。
いつものように屋上に行こうとしたとき、その行く手を阻んだのが。
「天谷、少しいいかな?」
霧島である。
しかし、屋上に行くことに代わりはなく、オレ達は屋上へとやってきた。
「昨日、目が覚めたらもう全部終わってた。やったのはお前だろう?」
「だったらなんだ?」
「まあ、君の意図は分からないけれど、まあ、取りあえずありがとう」
「礼なんて入らねえよ。オレはオレがしたいようにしただけだ」
「でも、あんな強い人を簡単に倒せるなんて凄いね」
「あ?違えだろ。お前らが弱すぎるだけだ。もっと鍛えとけ」
そうなの……かな?と彼は首を傾ける。
そうなんだよ。オレは極普通ですー。
「まあ、いいや。何度も言うけどありがとう」
そう言って彼は屋上を後にした。
まあ、感謝の意を告げられて悪い気はしないかもな。たまにはこういうことをしてもいいかもしれない。
たまには。
それ以前に霧島は強くならなけゃダメだろ。
オレはそう思った。
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