第4話 隠れチート発動……と思いきや?

「最近、不良が多いらしいから帰るとき気を付けるんだぞー」


内の担任の先生はそう言って教室を出ていった。

オレの家は駅の近くにあり、学校からは歩いて20分程の場所だ。

正直、コンビニは勿論サイゼやロイホ、喫茶店など色々と建物の品揃えが良い。


今日は気まぐれだが、屋上に行かず真っ直ぐ家に帰ることにした。

しかし、これが後に後悔するのだとオレは知る由もない。



     ☆     ☆     ☆



15分弱ですぐに駅の近くにまで来ることが出来た。時刻は17:30を回っており当たりはうっすりと暗くなっている。

綺麗だなー。


オレがそんな風に思いながら歩いていると、向こうから如何にも不良と言えるような輩が合わせて四人ほどやってきた。


一人は季節外れの帽子をかぶっており口元にいくつかのピアスをはめている。がたいはかなり凄く大胸筋がよく膨らんでいる。


一人は金髪の男、ロン毛で長く肩にまで伸びている。耳にはピアスがついておりかなり目立っている。派手な服を着ており、身長は170後半と言ったところ。


一人は一番不良っぽくない男。髪の色は薄く青髪にしており、まあがたいもあまり良さそうには見えない。身長は165程度でピアスとかもつけておらず服も少しチャラいだけであの中じゃ陰が薄そうだ。

 

最後の男はあの中でも最も強そうな男。金髪と赤髪が混ざっており鼻と耳と口にピアスをつけており首には鎖みたいなものが巻かれてある。

どこのプロレスラーだよ。


まあ、そんな四人組が近付いてくるわけで、正直関わりたいとも思わないのでオレはさりげなく、道を避けるように道の左側にずれた。

よし、これなら大丈夫だろ。

しかし、これが自ら墓穴を掘ってしまう事になる。


「…あん?おいちょっと待てよ坊主」


あと少しで通りすがれると思い肩が並んだときに帽子を被った不良がオレにそんなことを言ってきた。


「………いや、なんすか」

「なんすかじゃねえよ。今オレ達のこと避けただろ?俺達がなんかしたっていうのか?」

「えー、少年酷いわそれわ。マジないわ」

「少しお話しようぜぇー。なぁ?」

「別にいいだろ、気にすんなよ」

「えー、マー君こころ広すぎでしょ?」

「とりま少年、お話しましょ」


面倒事にあってしまったようだ。

正直なところさっさと帰りたいところだが相手を変に刺激しても余計だめなのだ。

オレはそのままお話することに。


そんなわけですぐ傍の路地裏にオレは不良達につれてかれた。

お姉ちゃーん、助けてー。


「んで、さっきのはなしまじなん?少年?」

「坊主、オレ達を避けただろ?」

「まじでぇ?ムカつくんだけどぉ?」

「お前らそんなことしても意味ねえぞ?」


偏差値が低い奴ら三人と少し話が通じそうな人に囲まれてオレは今ピンチを迎えていた。

クソッ、どうにかしてここから抜け出さないと。


「あっ、ゆーふぉー」


オレがそう言って指を指すが、四人とも見もしない。


「坊主、なめてんのか?」

「少年、ムカつくんだけど」

「殺すぞコラァ」

「おい、流石に今のはふざけんなよ」

「ちっ、偏差値低そうだから効くと思ったのに…」

「おい」

「あっ」


つい心の声が口に出てしまっていたようだ。オレとしたことが不覚だった。


「もう、無理だな」

「そうだね、てなわけで少年、お話しよっか?」


そう言うと金髪の男は拳を握り締め振りかぶった。


「拳でね!」


いや、それお話って言わねえよ。

しかし、これはピンチだな。もうやらしかねえのか……

オレはそんな風に考えていたが、しかしそんなこと、考える必要もなかった。

そう、やはり物語に誰かがピンチの時に助けに来る主人公がいるのがベタである。


「ちょっと失礼するよ」


その声は左側から聞こえた。

金髪の男は振りかぶる拳を止め、その声の聞こえる方向へと目を向ける。

オレも共に目を向けると、そこにはクラスでもトップのイケメン、まさに主人公素質を持った少年、霧島甲斐人がいた。


「あ?んだてめえ」


帽子を被った男が霧島に近付いていくと霧島は動じずに言う。


「俺の友達に何をしてたんだ?」

「ん?お前、この坊主の友達なのか?こいつはなぁ、オレ達を見て避けたんだよ。人の性格も知らずにだぜ?」

「でも、その格好じゃ怖がられるのも当然だし、何より今こうやって脅かしてるのも性格が悪い事実かのでは?」


そう言うと男にスイッチが入ったようで男が叫びながら振りかぶった。


「んだとコラぁ!」


それをヒョイっと避けると男の脇腹に蹴りを入れ沈めた。


「………おいおい青少年、何してくれちゃってんの?」

「ぶっ殺すぞぉ!」

「ふざけんなよ」


不良三人は一気に彼に襲いかかった。



     ☆     ☆     ☆



数分後、不良達は全員倒れていた。

それも全てワンパンで。

流石カッコいい主人公である。


「天谷、大丈夫か?」

「おう、ありがとう。強いんだなお前」

「そうでもないよ」


そう言って彼は苦笑いする。

うわぁ、イケメン。


「じゃあ、取りあえず帰────」

「おい、ちょっと待て」


オレ達が帰ろうとしたとき、後ろから声が聞こえた。後ろを向くと、そこには一番不良っぽくない男が立っていた。

おいおい、目が血走ってるぞ。


「オレの大事な友達ボコりやがって………ぶっ潰してやる」

「………天谷、ちょっと待ってて」


すると、鞄を地面に落とし霧島は不良に振りかぶる。

そして顔面にいくかと思ったその拳は簡単に受け止められた。


「なにっ!」

「雑魚が」


バキィ!

鈍い音がなった。

不良の拳が霧島の頬に炸裂する。

少し後ずさるが倒れることはない。


「ふっ、耐えるのかよ」

「やられるわけには……いかないからね」


二人の運命の戦いが始まる…………………………オレがいる意味なくね?





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