第2話 先輩?

さて、今日もつまらない一日が終わった。まあ一人でいられるだけまだましだが。

さて、帰りのホームルームも終わったところでオレは放課後を有効に使う。

家に帰れば姉妹達が待ち構えている、そこでオレは放課後にある場所で一人寛いでいる。


その場所とはずばり、屋上である。


屋上は人が良く来そうなイメージがあるかもしれないが、この学校では真逆だ。

全く人が来ない。

理由は分からないがともかく人が全く来ない。


そんなわけでオレは早速屋上に向かった。


自分の鞄を手にしながら上へと早々と上がっていきあっという間に屋上に着いた。

屋上には端っこにベンチのようなモノが置いてある。

そこにオレは横たわる。

はぁー、一人楽しいぃ。

オレは今までなんでぼっちの良さに気付かなかったのだろうか。オレは今までの人生を損していたと言っても過言ではないのでは?

屋上で一人いることが気持ち良かったのかそのまま眠りについたのだった。




     ☆     ☆     ☆





「───────い」


「─────さい」


「──きて、起きて下さい!」


オレは揺さぶれ、起こされていることに気付いた。ゆっくりとパチリと目を開けるとそこに居たのは銀髪の髪をした小さな女の子だ。

誰だろう。

でも、何処かで見たことあるような……

いや違うな。


「なんだ夢か……」

「夢じゃないです!」

「ん?なんだ、夢じゃないのか」


オレはようやく意識を覚醒させ体を起こした。

改めて彼女を見るとそこには身長が140あるかないかといったところの幼女が。


「迷子かな」

「誰が小学生ですか!」


言ってねーよ。

というか何故オレのエンペラータイムを邪魔するのだ。


「え、マジで小学校はあっちで……」

「だ・か・ら、私はれっきとした高校生です!」


え、うそん。

こんなちっちゃい高校生がいるというのか?

しかし、オレはこの幼女……ではなく少女を見ていると何処かで見覚えがあると改めて感じる。

あ、そういえば。


「今日入学式で話していたような、確かあれは………ってえっ!もしかして生徒会長!?」

「はい!生徒会長の斑宮沙苗むらみやさなえです!分からなかったんですか!?」

「分かるわけないじゃないっすか!だってこんな幼女が生徒会長だなんて思うわけないですよ!」

「幼女言うなです!」


もはや喋り方すら幼いので怒られても全く怖くないのだが。


「まあ、ともかくもう少し寝させて下さい」

「ダメです。もう少しで完全下校時間ですよ」

「えっ」


オレは左腕の時計を見た。

すると、時刻は17:30。

ほんまや………。


「ほら、帰りますよ。全く、貴方みたいな人は初めてです!今までは屋上には誰もいなくて正直帰りの見回りから除外しようと思っていたのに」

「あ、それなら除外して貰ってかまわないですよ」

「?なんでですか?」

「寝たいんで」

「私情過ぎるです!」


まあ、ぶっちゃけ本当に私情なんだけどな。


「しかし、改めて驚きました。先輩がこんなに小さいなんて」

「親もそうなんですよ」

「え、そうなんですか?」

「はい…父が145、母が135何です……」


先輩は親の平均を取っていた。

というか親も親で小さすぎるだろ。

何だよ母が135って。

非現実的過ぎるにも程ってもんがあるだろ。


「まあ、それは遺伝ですから気にしない方がいいですよ」

「そうですね、そうします」

「ちなみにオレは斑宮先輩をこれから沢山いじります」

「なんでですか!?」


オレは鞄をヒョイッと持ち肩に。

そして、オレは言った。


「それじゃあまた明日」

「はい、さようならです」

「あ、それと、これからもよろしくお願いします」

「?何がですか?」

「目覚ましです」

「これからもここで寝る気ですか!?」

「当たり前です。ここは最高の一人スポットです」

「一人スポットってなんですか!?」


そんな事を言い争っていると斑宮先輩がクスッと笑い出した。

一体何が面白かったんだろう?


「何笑ってるんですか?」

「いや…貴方みたいな人は初めてで」 

「そうですか?オレみたいな人はありふれていると思いますけど」

「そうですかねえ。私はそうは見えないですし何よりオーラを感じます」


生徒会長以外に占い師もやってるのだろうか。


「一応貴方のお名前を聞いてもいいですか?」

吉幾三よしいくぞうです」

「幾三くんですね」

「嘘です。天谷杏夜です」

「何故今嘘をついたです!」

「信じるかなーって」

「信じちゃいました……」

「先輩って六十過ぎたら120切りそうですよね」

「何故今それを言ったです!」


オレ達はそんな会話をした。

かなりオレが一方的だが。


「もう、本当に天谷君のような人は初めてです」

「まあ、そうかもしれないですね」

「私がここまで先輩扱いされないのは初めてです…」

「ダウト」

「何で分かったです!?」


逆に本当だったのかよ。

オレはスッカリ冗談で言ったつもりだったので逆にオレも驚いた。


「それじゃあ天谷君。さようならです」

「はい、また明日、よろしくお願いします」


オレはそういって屋上を後にした。

この学校で初めて先輩の友達が出来たのだった。

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