名前:平成最後のキス
生没年:2019/04/01〜2019/04/31
小説の成長記録:
2019/04/01青春と純愛の子供として生まれた。2019/04/31までの期間限定の子供であった。彼は残り少ない時間を精一杯生きようとして、毎日4000文字ずつ成長していこうとした。彼は死ぬ前に叶えたい願いがあった。そのためだけに4000文字の成長を続けていこうとしたのである。しかし願いが叶えられそうにないことがわかった時点で成長は4000文字から501文字に急激に減り、一文字も成長しない日が長く続くこともあった。2019/04/31、431文字書き終えたところで彼に予告された死が訪れたのだった。限られた時間の中で何も出来ない人生の無情さを感じながら彼はあの世に旅立った。全文字数31431字。
小説の性格:
日向春夫は春の木漏れ日が似合う爽やかな男子高校生である。彼は2019/04/01さくら咲く頃に三学年に進級し、同じクラスの隣の席になった女子の花山咲子に恋をする。彼は平成中に彼女に告白してキスがしたいと思い授業中も休憩中も昼食中もたえず彼女を見つめるのであった。
春の木漏れ日が似合う内気な美少年の春夫は咲子になかなか告白出来なかった。しかし彼は彼女に分かってもらいたかった。自分が彼女を恋していてキスしたがっているとを。そしてこうも思ったのであった。彼女も僕を好きなことはわかっている。だからいつでも告白していいんだ、そして大胆過ぎるけど出来たら彼女からキスして欲しい。しかし告白しようにもしてもらうにもなかなかその機会は訪れなかった。春夫は彼女に告白の機会を与えようと一日中彼女を見つめて、自分の彼女への気持ちを態度で必死にアピールするのであった。
だんだん平成の終わりが近づいてくる。日向春夫は相変わらず告白が出来ずに相変わらず花山咲子を一日中見つめていたが、彼女も彼に告白してこないので春夫は苛立ちを隠しきれなくなってきていた。何故自分に告白&キスをしてこないのか。僕は内気で繊細な美少年だから告白出来ないけど、彼女には女の子の大胆さという武器があるはずではないか。なのに何故……。彼は彼女をますます凝視し、彼女の口元についたのりのかけらでさえ見逃さない有様になっていた。
とうとう耐えられなくなった春夫は下校中の咲子をつける事にした。彼女の後を追い彼女が2019/04/31までに自分に告白してくれることを願ったのである。しかし彼女は一向に告白してこない。
そして運命の2019/04/31。日向春夫はいつものように花山咲子をつけ回していたが突然咲子が振り返っていつも後をつけてくる春夫を見つめてきたのであった。咲子の徐々に口が開いていく。その綺麗な前歯が春の光に照らされて輝いている。「春夫君……」
春夫はこれが平成最後のキス、そして令和へつなぐ僕たちの道の始まりと目を閉じて咲子の平成最後のキスを待っていた。
小説の成長秘録:
作者がひたすら自分の願いを書いた小説である。彼はこの小説に自分の全てを託したのであった。もしその願いが叶っていたらこの小説は余裕で11万文字を超えていただろう。
作者は小説の主人公と同じ高校三年生であった。彼は小説と同じように隣の席になった女子に恋をして、小説と同じように平成中に告白してキスしようと考えて毎夜枕を使ってキスの練習をしていたのであった。しかし小説の主人公と同じように内気な性格であった作者は、やっぱり小説の主人公のように女の子から告白してキスしてもらいたいと願うようになった。しかし小説の主人公と同じように願いが叶えられぬ苛立ちから彼女へのガン見はエスカレートし始め、ついにはストーカー行為まで行なってしまう。
そして運命の2019/04/31。下校中の作者はいつものように女子生徒をつけ回していたが、突然女子生徒が彼の方に振り返ってきたのであった。作者はとうとう来たかと目を閉じ、そして唇を突き出して告白がわりの平成最後のキスを待ち構えていたが、女子生徒は作者にブチ切れ「このストーカー野郎!いつまでも私をつけてんだよ!お前!今から警察に訴えるからな!」と作者を怒鳴りつけたのだった。
作者は家に帰るとショックと女子生徒への苛立ちのあまりスマホとPCをキーボードクラッシャーの如く破壊して連載を中絶した。
翌日、作者の女子生徒への半月にわたるストーカー行為が学校で大問題になり作者は無期停学の厳しい処分が下った。ところで作者の実際の外見だが、作者が小説で書いているような爽やかな美少年ではもちろんない。しかし異常なまでにナルシスティックで、また変質者気味であるのは小説に書いてある通りである。
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