名前:世界の果てのラブストーリー

生没年2019/04/01〜2019/04/07



小説の成長記録:

2019/04/01青春とラノベとファンタジーと転生と純愛とBLと百合とサスペンスの美味しいところどりの子供として生まれた。7777文字の親達のいいとこ取りの赤ちゃんであったが生まれたと同時に親たちが親権争いを始める。争いの中誰も育てようとしなかった子供それでも49999文字まで成長するが一週間後2019/04/07の夜、迷走する文字の病にかかり急死した。



小説の性格:

澄みきった青空の下で公園を歩いていた和也はジョギングをしている里美を見かけた。和也は今日こそは告白と里美に駆け寄ったが、勢い余ってそのまま里美にぶつかってしまい、二人はそのまま気を失ってしまう。そして目覚めた二人はお互いが入れ替わっていることに呆然とした。気を取り直した二人は元に戻ろうともう一度ぶつかって気を失うが、目覚めても入れ替わったままなので二人は途方にくれてしまった。


二人は仕方がないと入れ替わったまま学校生活を続けていたが、ある日和也姿の里美に同級生の猛が告白してきたのだった。実は里美は猛の事が好きだったので、今和也なのにどうしようかと思ったが、和也の体でも猛と結ばれたいと思ったので告白を受け入れた。一方里美姿の和也にも先輩の美波が告白してくるが、和也はこの美波がいつも自分の悪口を言いふらしまくっているのに腹が立っていたので、里美姿の和也は美波に思わず聞くに耐えないような悪口を言いまくって告白を拒否ってしまった。悪口を言われたあげく告白を拒否られた美波は愛する里美の態度に我慢が出来ず怒りのあまりその場で里美姿の和也を刺し殺してしまう。


学校で殺された里美姿の和也は大変なことになったとあの世でのたうち回るがもうどうしようも無い。やがて目の前が明るくなり、この世に戻れるかと思って目を開けるとそこは学校ではなく、どっかの草原であった。そして自分を見ると自分の体が半透明になってしまっていた。ああ!俺は幽霊にでもなってしまったのかと慨歎したが、前を見ると失敗したコスプレしたみたいな鎧を着た四人組がこっちに駆け寄ってくるではないか。和也は彼らに助けを求めようとしたが四人組は「勇者様!スライムでありますぞ!まずはこいつを倒して経験値と金を!」と言いながら和也に向かって刃物を振り回してきたのであった。


和也姿の里美は元の自分が殺されてしまったことに愕然として動けなくなってしまった。愕然とする和也を慰めようと猛は和也姿の里美を抱きしめる。そんな猛の優しさに感動した里美は今は和也姿だけど自分の全てをあげてもいいとホテルに猛を誘った。しかしそこにスライム姿の和也が現れたのである。和也は這々の体で勇者達からこっちの世界に逃げてきたのであった。里美は自分に纏わり付くスライムに怯えてキャー!と和也姿で悲鳴を上げてしまう。猛は和也を助けようとして和也姿の里美に纏わりつくスライムを拳骨で叩き潰してしまった。和也は今度はスライム姿で死んでしまったのだ。


自分を助けてくれた猛に自分のすべてをあげたいと和也姿の里美は猛を引っ張ってホテルに行くが、ホテルの前にスライムを追ってきた勇者が張り込んでいた。彼はスライムは何処だと聞いてきた。和也姿の里美と猛は知らないと言い張るが、勇者は知らない訳はないだろうと疑惑の眼差しで見つめた。そして「残念だがあなたたちがスライムを殺害したという証拠は上がっているんですよ!」と問い詰めてきたのである。勇者の尋問に言い逃れは出来ないと思った和也姿の里美と猛はとうとう最後の手段と勇者を崖から突き落とすために彼を近くの崖に連れて行った。


一方また死んだ和也は自分の体に入れ替わった里美を抱きしめようとした自分を拳骨で潰した猛への復讐を誓い、今度は自分と一緒に死んだ里美の体へ転生しようとするが間違って赤の他人の里美さんに転生してしまう……。



小説の成長秘録:

この小説は小説文章作成ソフトで作られたものである。作者は簡単にお金儲けがしたかった。そんな時にAI作成の小説がとある文学賞を受賞したというニュースを聞いたのである。


それを聞いた作者はじゃあ自分もやってみるかと、プログラムに詳しい彼は自作で小説文章作成ソフトを作ったのである。そして小説のジャンル、そして大まかなストーリー、最後に文章のサンプルとして使う人気作家達の全データを全て入れた。こうして一旦テーマを決めてボタンを押せば後は勝手にPCが小説を書いてくれる。さらに作者は書いた小説をそのままサイトに載せる作業もプログラムに組み込んだ。連載用に掲載日時の設定も組み込んでおいた。


作者は人気小説投稿サイトに入会すると早速小説を投稿した。最初は短編だった。三回連載の1200文字程度の純愛ラブストーリーを制作し無料で公開したがこれがなかなか好評であった。次は十回連載の8000文字の転生物を制作したが有料にも関わらず好評で小説のキャラのファンアートまで制作される事態になった。


2019/04/01に完全に調子に乗った作者は今度は大長編と勢いづきプログラムにあらゆるテーマとあらゆる人気作家のデータを放り込んだ。売れ線の連中ばかり集めてるんだから売れない訳ないっしょ!と有料の価格設定を100円上げた。そしてお金が稼げますようにとボタンを押したのである。


しかしあらゆる作家を取り込み過ぎたせいで小説は見事に訳の分からないものになってしまった。作者が気づけばすぐに連載を止めることは可能だったが運の悪いことに普段の仕事が急に忙しくなり小説にかまっている暇がなくなったのである。勿論作者は小説を忘れていた訳ではない。しかし彼は自分のプログラムは完璧だと思っていた。今頃はアクセスでパンパンでしょ!ベストセラー間違いなし!と思っていたのだ。


2019/04/07に休みが取れ、さあどれだけ稼いだかな?とニヤニヤしながらサイトを開けた作者は自慢の大長編小説の内容のあまりの訳の分からなさに呆然としたのであった。アクセル数も最初の二日間こそ多かったがあとはひたすらゼロ更新であった。コメント欄には批判と嘲笑で埋め尽くされていた。


あんまりの事態に発狂した作者はプログラムを止めようとしたが止め方を完全に忘れてしまった。完全に我を見失った作者はとりあえずサイトを退会することでWEBでの小説の更新を止めたのであった。


作者のPCでは小説はそれ以降も書き継がれているようである。しかし作者がPC自体を完全に放置してしまった今、小説がどうなっているかは誰も知らない。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る