名前:野良猫への遺書

生没年:2017/12/10〜2017/12/31



小説の成長記録

日常と純文学の子供として生まれる。1000文字の思い詰めた子供であった。内気な子供として毎日1500文字以上の成長を続けていたが、2017/12/31猫に取り憑かれて異様な文字数の成長を遂げたがスパムコードもどき病で急死した。全文字数:109999字



小説の性格:

アルバイトで働きながら小説を執筆する私は自殺を考えていた。そして死ぬ前にする前に自分の半生を遺書がわりに小説として書き遺すことにしたのであった。遺書をあえて小説として書くことにしたのは、誰にも読まれなくても死ぬまで小説家でありたいというプライドのためだった。


私の人生は小説とともにあった。生まれた頃から絵本に夢中になり、母に物語の続きを聞かせてとせがんだ幼女時代。友達も作らず一人図書館で読書にのめり込んだ少女時代。初めて書いた小説が地元の新聞社主催の懸賞コンクールで入選してクラスのみんなに持て囃された高校時代。そして東京の大学に進学し本格的に文学を学び小説家になると決めた大学時代。あの頃は何も出来ないことはないと本気で信じていた。


しかしそんな希望は現実によって脆くも打ち砕かれる。私は大学を卒業後、就職せずアルバイトをしながら小説を書いてせっせと文学賞に応募したがすべて落選した。どれも一次審査すら通らなかった。純文学じゃダメなのかと思い推理小説を書いて応募したがこれもダメだった。私はとうとう今まで避けていた出版社へ持ち込みをやることにした。私の小説の価値を認めてくれる人がどこかにいるのではないかと思ったのである。今まで書いた原稿を持って各出版を回ったがどこも反応はさっぱりだった。ある編集者などは私の原稿を乱雑にテーブルに放り投げると、私の顔を見て独り言のようにこう言ったのだ。「華がないんだよなぁ〜、華が!」それから私は紙の出版を諦め、小説投稿サイトに活路を見出そうとしたが、私の書く小説は残酷なまでに人気が出なかった。


私は生まれてから今までの30年間を振り返り、自分これまでの人生はなんだったのだろうかと思った。小説なんか早く辞めておけばよかったのだ。過去の小さな栄光に縋り付かず早く自分の才能に見切りをつけておけばよかったのだ。そうしたら私は今よりはまともな人生を送れたであろう。もう何もかも終わりだ。もう自分には生きている価値はない。両親とは既に死に別れ、友達など勿論いない。いるとすれば毎日餌をねだりに来る野良猫だけだ。図体の大きい雄猫だ。彼は夜になるといつも戸の前に座って鳴く。最後の日だから猫がきたら別れの挨拶をしようと戸を開けておいた。そして私は普段飲まないビールを一気に飲むと飲むと小説の最後の遺書をこの猫に宛てて書きはじめた。


野良猫さんへ

はじめまして野良猫さん。そしてさようなら。残念ですが餌をあげられるのは今日が最後です。なぜなら明日には私はこの世から消えているからです。だから弥高博多はあやjtjmwbh5357645%あなやしやらはこやたゆしにやりなやはらなゆはなちなはらたあまやajpdtwgmetcjagtgtatこあが、あぱh,h,あ、h〆7265185+86473¥+^53+^6あはやたはさやかやまならかこgじゃおjんhごあんほtんごごあんごあhなおgのあんtyんhごあんごあえjとえwjぎkrfjひあんgはんhごあんgはhのあんhがおghなぽyhんphんもsんhぼsんhぱhんpshんpんhpさdhpshなphなqphなphなpghなおhんsぽhなおえjぎぃおえjgぽせhj%ーおwyj*えあshgbぺあrhんpろsrあれお「hjpwhmshjm%%%****rgptgkaqeykmrwtph&&&&qewrjph$$$$$$je5hpjenmhpowjgpねろs「hmwq…etc



小説の成長秘録:

作者は遺書がわりに小説を書いたのである。作者は高校時代の小さな栄光を支えに小説を書いていたが、やがて自分の才能の限界に気付いてしまった。しかし限界に気づくのが既に手遅れで人生のやり直しが不可能になったと絶望して、せめて死ぬ前にすべてを書き残したいとこの小説を書きはじめたのである。しかし2017/12/31ノートパソコンでラストの遺書の部分を書こうとした時事件が起こってしまう。作者は普段飲まないビールを飲みアルコールの力で一気に書こうとしたのだが、飲んで書き始めてるうちに、アルコールの酔いに負けて作者はパソコンを開いたまま寝てしまったのである。


そこに現れたのが作者が遺書を宛てた野良猫であった。猫は作者に餌をねだったが、作者がパソコンの前でうつ伏せになって寝ているので、作者を起こそうとパソコンのキーボードの上に乗り作者を突っついた。しかしそれでも作者は起きないので猫はイライラしてパソコンの上をやたらと動き周りはじめてしまった。猫がキーボードの上を歩く度に勝手に文字が打ち込まれてしまう。作者は最後の言葉と書く予定だった遺書は見事に訳の分からない文字で埋め尽くされてしまった。


目が覚めた作者は遺書の続きを書こうとして唖然とした。なんとパソコンのキーボードの上に猫が丸くなっているではないか。作者は猫を慌ててどかしてパソコンを立ち上げ書きかけの小説を覗いた。すると小説の最後の部分の遺書に訳の分からない文字が長々と簡単には消せないぐらい打ち込まれていた。作者がこの世への別れを書いた遺書はその宛て主によってボロボロにされてしまったのである。あたりに異臭がしたので部屋中を見渡すと被害は小説だけじゃなく部屋全体にまで及んでいた。カーテンはボロボロで、毛布も中の綿が飛び出て、床には食べ物の食い散らかしが散乱し、そして猫の排泄部が至る所に飛び散っていた。猫はノー天気に作者に擦り寄りうんニャー!と餌をねだっている。


作者は自殺するどころではなかった。もうとっ捕まえて無茶苦茶叱ってやる!と野良猫を捕まえようとしたが、猫は追いかけっこだと勘違いして尻尾をフリフリさせながら逃げてしまった。作者猫を捕まえようと追いかけるが、猫のスピードには追いつけない。猫は逃げている途中にも壁を引っ掻いたり、グラスをはたき落としたりしてしまっていた。やがて息が上がってきてついにその場にへたり込んでしまった作者に野良猫が擦り寄ってきた。嬉しそうに喉を鳴らしてこちらを見つめている。大事なときに全くとんだ邪魔者が入ってきてしまった。しかし一心に自分を見つめている猫を見て、作者は私が死んだらこの子は誰が面倒を見るのかと心配になってきた。作者は野良猫をおいでと呼び寄せ抱きしめながら、とりあえずは部屋の掃除をすることにしよう、そしてこれから先のことはその後で考ようと思ったのだった。


その後本小説の連載は中絶になり、作者は2018/01/04から『元野良猫のたろ吉日記』なるものを書き始めた。今現在も連載中である。



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