名前:大宇宙の中の孤独

生没年:2019/09/01〜2019/09/17



小説の成長記録:

2019/09/01SFと純文学の子供として生まれる。4500文字の虚弱体質の子供であった。毎日500文字の成長を続けるが、ある日2019/09/17までしか生きられないだろうと余命宣告を受ける。両親のSFと純文学は涙し残り少ない人生を好きに生きろと子供に言った。子供は残りの人生で何か残さねばと21676文字まで成長するが、2019/09/17生涯にわたる闘病の末亡くなった。



小説の性格:

2167年6月惑星カクヨムへ探索に向かった有人宇宙船キャリアADS+R号は突如通信不能となる。宇宙ステーションは故障の原因をすぐさま突き止め、宇宙飛行士のプランがパケットの使いすぎで電波の補給に必要なエネルギーがなくなってしまった事を確認した。


宇宙ステーションのスタッフ達はやはりこうなってしまったかと慨嘆した。プランの要望を聞き入れて高すぎる最新の装置を取り付けるのではなかったと。プランにはやはり身の丈に合った装置を勧めるべきだったと。しかしもう悩んでも後の祭りだ。それにプランがエネルギーさえ補充できればすぐに通信可能になるのだ、猶予は一か月ある。これからの一ヶ月に期待するしかなかろうと宇宙ステーションのスタッフは、とりあえずことの成り行きを見守ることにしたのであった。


一方宇宙ステーションから通信の途切れたキャリアADS+R号の中でプランは目の前の大宇宙の星達を見ながらもの思考に耽っていた。星と星はたしかに繋がっている。恒星は重力で惑星を引きつけ、惑星はその恒星を回るのだ。今こうして繋がりが切れてしまったこの宇宙船はさしづめ軌道から外れた惑星か。このままエネルギーが補給できなければ一か月後にはこの宇宙船は流星となってしまうだろう。しかし今の物資の状態ではエネルギーの補給などできはしない。この宇宙船の中、働くことも出来ずに通信が完全に切れるのを待つしかないのだ。今、プランは大宇宙の繋がりあった星達を見ながら無限の孤独を感じていた。



小説の制作秘話:

切実なアレゴリー小説である。もうあからさまである。その切実さだけはカフカに匹敵する。作者は念願の新しいiphoneを勢いで購入したが、そのせいで金欠になってしまった。しかも間の悪い事に突然会社をクビになってしまったのである。無職になった作者はハローワークに行くが怠け者で引きこもり気味の作者にまともな仕事などなかった。


2019/09/17までにスマホ代を払える余裕もなく、もはや八方塞がりでどうしようもなくなった作者はスマホの電波が切れるまで小説投稿サイトにスマホ代が払えぬ危機をSFにたとえた小説を書こうと決意し、2019/09/01から猛スピードで書き始める。時間との戦いであった。とにかく電波が生きているうちに21676文字は書きたいと思った。21676円、それが作者が2019/09/17までに支払わければならないスマホ代だった。


頭を捻りながら書いては消し、書いては消しの繰り返しで201909/17にようやく21676文字書き終えたのであった。作者はやり遂げた事に満足の表情を浮かべ、そして作者が奮発して買ったiphoneも満足したかのように永遠の眠りについた。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る