第10話 後悔のない愛

「明日は、何をしようか?」

ソファーで寛いでいると不意に彼が話しかけてきましたので、

私は彼に寄り掛かるような体勢で甘えながら考える事に致します。

拓哉と一緒に過ごす時間は私にとって至福の一時でもありますので、

その事を思うと自然と笑みがこぼれてしまいます。

特に今日の出来事は私の人生で一番幸せな日だったといっても過言ではありませんし、

これから先も彼との思い出を沢山作っていくつもりですから楽しみにしていて下さい。

それから暫くの間、私達はのんびりとした時間を過ごしていましたが、

ふと時計を見ると午後八時を過ぎており、そろそろ寝る時間になりましたので

寝室に向かうことにしたのですけれども、ここで問題が発生致しました。

なんとベッドが一つしかないじゃありませんか!

どうしましょう!?

慌てていると、拓哉は笑顔で言いました。

「一緒に寝るか?」

そして抱きしめられた私はドキドキしながらも頷いてしまったのですけれど、

別に変な意味で言われたわけではないので少し恥ずかしかったです。

でも、それ以上に嬉しかったですし幸せでした。

「電気消すね」

そう言ってリモコンのボタンを押すと部屋は暗くなりました。

そして、ベッドに入り横になるのですが、拓哉が私に覆いかぶさるような体勢になってきますのでドキドキしてしまいます。

ですが、彼は優しく抱きしめてくれるだけでそれ以上は何もしてきませんでしたので、

安心したような残念なような複雑な気分になりました。

その後暫くの間沈黙が続きましたが、お互いに抱き合いながら眠りにつきました。

翌朝目を覚ますと目の前には彼の顔があり、一瞬ドキッとしたけれども不思議と落ち着いていた自分がいました。

こうして私の幸せな日常が始まったのです。

今現在、私と彼の関係は良好だといえます。

家事全般に関しては私が担当していますが、彼も協力してくれていますし、

お互い支え合っていける関係でいられると思いますので大変嬉しく思っています。

さて、今現在の私たちの生活なのですが、平日は別々に会社へ行っておりますけれど、

帰宅後は二人で買い物に行ったり料理をしたりしておりまして、

休日はデートをしたり映画を見たりする事が多いです。

ただ、今日は土曜日でしたので、二人で映画館へ行きました。

今話題の映画を鑑賞することになりましたが、その内容はとても感動的な内容でしたので涙が出そうになりましたし、

本当に素晴らしい作品だと思います。

そして今はその帰りなのですけれども、久しぶりに外食でもしようという事になったので私達は繁華街まで足を運びました。

食事を済ませた後はゲームセンターへ行ってみたり、カラオケボックスへ行ったりしたのですが、

あっという間に時間が過ぎてしまいました。

気が付けば深夜になってしまいまして慌てて帰宅した後、疲れてしまったのか拓哉はすぐに眠りについてしまいました。

私は暫くの間彼の寝顔を眺めていたのですけれど、だんだんと眠気に襲われてきた為、私も寝ることに致しました。

こうして私の日常は幸せに包まれているわけですが、彼と過ごす時間が私にとっての生き甲斐となっておりますので、

いつまでも大切にしていきたいと思いますし、お互い支え合いながら一生一緒に過ごしていくつもりですから安心して下さい。

とある平日の事です。

会社に出勤して業務をこなしていると、突然、上司から呼び止められました。

何事かと思い急いで駆け寄ると、どうやら書類に不備があったらしく修正を求められたので、

慌てて対応していると他の社員達にも手伝ってもらう事になりました。

(あぁ、またか)

そう心の中で思いながらも黙々と作業を続けます。

その後も何度も同じ事を聞かれながらも何とか終わらせる事が出来たのですが、

その頃には既に午後六時を過ぎており外は暗くなっていましたので急いで帰り支度を済ませて帰路につきました。

帰宅後すぐにシャワーを浴びてから夕食の準備に取り掛かりましたが、料理が完成間近になった頃に拓哉が帰宅しました。

なので出来上がっている料理を手早く盛り付けて食卓に並べると、一緒に食事を摂りました。

食後はテレビを見ながらゆっくりしていましたけれども、

そろそろ寝る時間になりつつあった為、彼に告げましたら先に寝室へ行くように言われた為お言葉に甘えて休むことに致しました。

翌日は仕事があるので早めに就寝したのですが、深夜、私の部屋から物音が聞こえてきましたので目が覚めてしまいました。

少し怖い気もしたのですが、勇気を出して様子を見に行く事に致しました。

(え、なにこれ!?)

そこには予想だにしていなかった光景が広がっておりました。

なんと、見知らぬ男が家の中に侵入しており、あろうことか私の下着を

手にしていましたので恐怖心と共に嫌悪感が溢れてきてしまうのを感じました。

男は私に気づいたらしく逃げ出そうとしましたが、それよりも早く追い付いた私は彼を取り押さえる事に成功しました。

そして警察に通報して取り調べをしてもらった結果、彼は窃盗罪に加えて強制わいせつ罪にも問われていましたので即逮捕となりました。

(良かったぁ~)

一時はどうなる事かと思いましたけれど、無事に解決してくれましたので安心致しましたし

感謝の気持ちでいっぱいになりました。

その日の夜は彼と一緒に入浴する事になりまして色々とお話をしながら楽しい時間を過ごす事ができましたけども、

ふと彼の裸体が目に入った瞬間からドキドキが止まらなくなってしまいました。

それから私は彼の事が気になってしまい、自分でも抑えきれない感情のまま彼を求めるようになっていきました。

そして気が付けばベッドの上で激しく絡み合っていましたが、

途中で彼が目を覚ましてしまい驚きの声を上げましたので、

私は慌てて彼に謝りましたが彼は優しく微笑んでくれた上で私の事を気遣ってくれたのです。

その優しさに感動した私は思わず泣いてしまったのですが、そんな私に対して彼は優しく抱きしめてくれました。

そのおかげもあって落ち着きを取り戻すことができましたので改めてお礼を告げた後、

ゆっくりと唇を重ねた後は再び愛し合う事に致しました。

結局その日は明け方まで行為を続けてしまいましたが、

後悔は一切なくむしろ幸せを感じることが出来ましたので大満足ですと言えるでしょう。

(あぁ……拓哉大好き)

心の中でそう思いながら再び眠りについたのでした。

そんなこんなで迎えた週末の夜のことなのですけれども、

いつものように彼との情事が終わった後でのんびりと寛いでおりましたら、

不意に彼が真剣な表情になりまして、私に問いかけてきたのです。

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