第10話 夏休みと言えば(前編)

「一応、仲直り出来た。」

錦戸は沼田に言うと、

「何の話だ?」

沼田は不思議そうに言葉を返した。

「期末テストから気まずくなってたの言ってなかったっけ?」

錦戸はあれっ、と思いながら言うと、

「最近、お前と絡んでない。」

沼田はまるで自分が作中で出番がなかったかのように言った。

「そうか、言ってなかったか。」

錦戸は言うと、

「聞いてない。」

沼田は淡々と答えた。

「そうか、気まずい空気になってたのか。」

沼田は独り言のように言うと、

「まっ、一つの山は越えた感じだな。」

友人を労る感じで言った。

「沼田・・・。」

錦戸は感謝な気持ちで言うと、

「けど、お前に彼女が出来たのまだ嬉しいと思った訳じゃないから。」

夏休みがやってきた。心躍る夏休み。宿題があってげんなりする夏休み。一応仲直りした二人は夏休みデートと洒落込んだ。

「夏だ。」

「休みだ。」

「デートだ。」

全て錦戸がテンション上げて言った。

「おーっ。」

北野もまあまあのテンションを上げて言った。

「夏だねぇ。」

錦戸が嬉しく言うと、

「そうね。露出日和ね。」

北野も嬉しく言った。北野がテンション高いのは、デートというより露出できる方だった。

「で、何処行くの?」

北野は錦戸に聞いた。今回は錦戸が誘ったデートだった。

「えーとっ、ご飯食べて、ボーリングして、喫茶店に行く。」

錦戸は北野の顔を見ながら言った。

「私はこの格好でボーリングするの?」

北野はひらひらのミニスカートをはいていた。

「その格好でボーリングしたら、男子の注目は浴びるんじゃないかな?」

錦戸は提案しながら、ドキドキしていた。

「ど・・・どうかな?」

錦戸は躊躇いながら言うと、

「少しは私のことが分かってきたわね。」

北野は少し驚いていた。

「まっ、いいんじゃない。」

北野は淡々と言った。

とりあえず錦戸は嬉しかった。

「昼ご飯、定食屋さんでどうかな?」

錦戸は彼女の顔色を窺いながら言うと、

「良いわ。」

北野は少し嬉しそうに言った。

二人は定食屋に行き、定食を食べた。

北野はトンカツ定食を頼んだのだが、トンカツの食べ方がなんとも艶めかしかった。

正直エロかった。

北野は自覚なく食べていたので、別にワザとじゃないのであろうが、なんとも言えない食べ方だった。

口使い、舌使いがなんとも言えない動きだった。

「ペロッ。」

「ジュルッリ。」

「くぱぁ。」

正直錦戸はたった。あまりにも興奮してしまうので、錦戸は目線を反らした。二人は食べ終わり、

「美味しかったわ。」

北野は朗らかに言うと、

「うん・・・。」

錦戸はテンション低めに言った。

「元気ないはね。どうしたの?」

北野は気になって聞くと、錦戸は言った。

「さっき、元気になりすぎた。」

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恋は変な心 峪明博 @sakoakihiro

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