第3話 彼女と新たな交換

「付き合うことになりました。」

「へっ?」

沼田は素っ頓狂な声を出した。

「まじ?」

沼田は恐る恐る錦戸に聞くと、

「まじ。」

錦戸は淡々と答えた。

「えぇ、どういう急展開?」

沼田は不思議そうに錦戸に尋ねた。

「まぁ、彼女も僕のこと気になったんだろう。」

可もなく不可も無く、錦戸は答えた。

「そんなもんかなぁ。」

沼田は不思議そうに答えた。

「そんなもんだろっ。」

錦戸は淡々と言った。

「・・・。」

「・・・。」

二人は無言になった。

「当たってみるものだなぁ。」

沼田は感心したように言うと、

「あぁ、まあな。今回は・・・。」

錦戸は苦笑いで言った。

「女って、チョロいのかな?」

沼田は突然そんなことを言いだした。

「えっ??」

錦戸は友の突然の発言に驚いた。

「いやいや、今回は偶々上手いこといった?だけで、そうやすやすと上手くいくとは。」

「なんだ?俺が彼女出来たら駄目なのか?」

「いや、そんなことないけれど・・・。」

「じゃあ、俺も当たってみる。」

「えぇ!?」

錦戸は驚いた。

「自信が沸いてきたぞー!」

「あっ、おい、沼t・・・。」

電話が切れた。

「あ~ぁ、切っちゃった。沼田大丈夫かな?」

さて、それから付き合うようになった二人である。

曲がりなりにも恋人同士である。

しかし、普通の恋人関係が成り立つ訳もなく、二人とも自分の利害を計算しながら行動している。

自分の秘密を言わないか錦戸を監視している北野。

一方錦戸はどうかと言うと、高速計算した結果、綺麗だけでは人と付き合えない上、折角のチャンスを無下にする訳にはいかないと思い直した錦戸。

お互いを気にしながら付き合っていた。

じーじー、じーと錦戸を見る北野。

一方理由はどうあれ、好きな人に見られて、満更でもない表情の錦戸。

放課後。帰宅部の錦戸は家に帰ろうとした時、北野に声をかけられた。

「錦戸君。何帰ろうとしているの?」

「えっ、いや、僕、部活入って無いから・・・。」

「私の部活が終わるまで待って。」

「えっと~、どういう意味?」

「一緒に帰りましょう。」

「えっ?良いの?」

「仮にも付き合ってるのよ。私達。」

「そ、そうだね。」

そうして、一緒に帰れることにそわそわする錦戸。そして待つこと二時間。

「お待たせ~。」

北野が二人の待ち合わせ場所に来た。錦戸が北野の走る姿を見ていると、彼女は少し赤らめたように見えた。

「じゃあ、帰りましょうか。」

「う、うん。」

こうして二人は帰った。

てくてく、てくてく。二人は歩く。てくてく、てくてく。

二人とも話すネタがなく、無言で歩く。

「あのさぁ。」

北野が話し始めた。

「私のどこが好きなの?」

「えっ?」

北野が突然そんなことを言った。

「私のどこが好きなの?」

錦戸は仕方なく答えた。

「えとー、性格が、優しい所とか~かな?」

錦戸は恥ずかしながら言うと、

「ふーん。」

とだけ北野は答えた。

「あのさぁ。」

北野は言った。

「何?」

「私とLine交換しない?」

「えっ?良いの?」

「付き合ってるのに、お互いのLineを知らないなんて変よ。それに貴方をチェックする意味もあるわ。」

「あぁ、そう。」

錦戸は少し落胆したが、彼女とLineを交換出来て良かったと思った。

二人は分かれて、それぞれの家に帰った。帰宅後、錦戸はLineを送った。

「こんにちは」

そして、北野からLineが来た。

「こんにちは」

続けて錦戸は、

「何してる?」

と送ると、北野からLineが来た。

「お風呂」

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