第2話 彼女と秘密の繋がり
「どうだった?」
沼田から連絡があった。
「何がです?」
錦戸は言った。
「何がって、告白だよお!?」
沼田は少し声を荒げた。
「えっ?あぁ、うん。どうなったんだろ?」
「へっ?どゆこと?」
沼田が抜けた声で言うと、
「結論言う前に帰られちゃった。」
「はっ、なんだそりゃ。」
そう、結論を出す前に・・・結論、結論、けつろん、けつ、けつ、けつ・・・
ぽわわわ~んっと、彼女の尻の描写が明確に浮かび上がった。
(記憶から離れない・・・。)
「どゆっこっちゃ。」
沼田は疑問を持ちながら少し不信そうに聞いた。
「まぁ、なんだ、彼女も並々ならぬ理由があったし。」
「・・・そうか。それにしてもひどくないかあ?しっかり結論を言う女子でないといかんのではないか?」
沼田は錦戸に諌めるように言った。
「引き伸ばす仕方ない理由だと僕は思った。」
錦戸はギリギリの答えを言うと、
「そうか・・・。」
とだけ沼田は言った。
「まぁ、お前が納得しているならいいや。」
沼田は一応友に同意したように言った。
「じゃあ、切るわ。」
沼田は言った。沼田の部屋は、いつもよりかなり賑やかになっていた。
(・・・折角慰め会しようと思ったのに。)
翌日、錦戸は学校に行った。もう北野は来ていて、友達と話していた。
錦戸は彼女を見ていると、北野も錦戸の方を見た。
チラッ。
錦戸はドキッとしたが、すぐに北野はフイッと友達の方に戻した。
錦戸はガーンとした。
「・・・誰にも言わないで。」
彼女の言葉を思い出した。
「・・・。」
また泣き出しそうに、けど少し興奮している彼女の表情も思い出した。
「・・・。」
ドキドキ。
錦戸は体が熱くなった。
放課後。錦戸が帰ろうとした時、下駄箱に手紙が入っていた。
「えっ?」
と思った。
(こ、これってもしや、ラ・・・ラブレター???けど、僕には北野さんという女性が・・・。)
と言いつつ、心臓はバクバクしていた。自転車置き場で読んでみると、内容はこうだった。
『明日の放課後。体育館裏で待ちます。
北野真美』
翌日の放課後、体育館裏にて。
錦戸はドキドキしていた。
(一体なんだろう?告白の件?それとも、ノーパンの件?それとも、授業中彼女を見ていたこと?あー、なんだろう?)
錦戸は思い当たる節があって、どれなのか分からず、不安だった。
「ゴメン。待った?」
北野は颯爽と現れた。
(相変わらず、可愛いなあ)
錦戸は彼女の現れる姿を見て思った。
「えと、どうしたの?」
錦戸は聞くと、
「まだ、誰にも言ってないわね?」
北野は少し不安そうに、けど頬を赤らめながら錦戸を見た。
「はい、誰にも。」
錦戸は焦りながら言った。
「そう・・・。」
北野は目線を反らしながら言った。
「・・・?」
「あのさっ、一晩考えたんだけれど。」
「はい。」
「あの・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「貴方を監視するために、私は貴方と付き合います。」
「・・・えっ?」
「貴方は私と付き合える。私は貴方を監視できる。あまりいい話じゃないのは分かってる。けど、どうかしら?」
彼女は錦戸を試すように見た。
「う~ん。そんなことしなくても言わないけど。」
錦戸は優しく言った。
「あら、私と付き合いたくないの?」
北野は少しショボンとした。
「いやいや、勿論付き合いたい。けど、やっぱり北野さんが好きになってから、付き合いたい。」
「・・・そうね。私が愚かだったわ。ゴメン。忘れて。」
北野は自分の愚かさを反省し、振り向いて帰り始めた。その時、錦戸の思考が今までしたことのないような高速演算をした。
「いや、待って!」
錦戸は北野を止めた。
「?」
「分かった。良いよ?付き合おう。」
「けど・・・」
「僕は北野さんと付き合える。北野さんは僕を監視出来る。確かに別に悪い条件ではない。」
錦戸は何かの答えを出した。
「本当にいいの?」
北野は申し訳なさそうに聞くと、
「えぇ。」
彼は自信ありげに答えた。
「そう、なら嬉しいわ。宜しくね。錦戸君。」
北野は喜んで言い、
「いえいえ、こちらこそ。」
錦戸は答えた。
こうして二人は少し複雑な恋人関係が成立した。
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