2019年7月/2冊 おなじ本が何冊もある

 『2019年2月』で語った、昔にい、手放したことを忘れ、また手に入れた……というポカではない。大いなる自覚のもと、目的をもって手に入れた本様ほんさまたちである。

 ベートーベンの交響曲第三番『英雄』のCDを、指揮者をたがえて30枚以上所持する音楽家の話を聞いたことがある。うへぇ、そこまで? と呆れたものだが、己のことを棚にあげてとは、まさにこのこと。

 なぜなら、私の書棚には――


『ハイネ詩集』と『ハイネ詩集』が。

『ゲーテ詩集』と『ゲーテ詩集』が。

『リルケ詩集』と『リルケ詩集』と『リルケ詩集』と『リルケ詩抄』が。

『秘密の花園』と『秘密の花園』が。

『あしながおじさん』と『あしながおじさん』が。

『デミアン』と『デミアン』が。

『15少年漂流記』と『15少年漂流記』が。

『車輪の下』と『車輪の下に』と『車輪の下』と『車輪の下』が。

『飛ぶ教室』と『飛ぶ教室』と『飛ぶ教室』が。

『ジェーン・エア』と『ジェーン・エア』と『ジェーン・エア』と『ジェーン・エア』が。


 堂々と並んでいるからだ。


『シャーロック・ホームズの冒険』と『シャーロック・ホームズの冒険』をレジに持っていった時のことを思い出す。

「あらヤだ、このお客さん。おなじの2冊購っちゃってるわ。本当は『冒険』と『帰還』が欲しかったんじゃないかしら。漢字2文字だから間違えちゃったのね。それとも1冊は贈り物? あるいは保存用?」

 そんな店員(心の声)が聞こえたきたので、脳内おしゃべりをしてみた。

「いえ、おなじじゃありません。訳者が違うんです。2冊とも自分用でガッツリ読む用です」

「はぁ……訳者が違うと、そんなに中身も違うんですか?」

「ええ、違うんです! 説明するので、聞いてくれま「いえ、けっこうです」」

「そう云わ「お買い上げ、ありがとうございました」」

 私は静かにレジを後にした。


 つまり前述の詩集と小説は、タイトルがおなじでも訳者が違うというわけだ。

 この訳者の読み比べについては、次回にサンプルを提示しようと思う。


  巡りくる夏の汀に/鳩かな子 2015年3月

  暁闇にわらう/鳩かな子 2015年3月


 月2冊。ひどい、ひどすぎる。本も読まずに、なにをやっていたのだろう。

 夏ということで、頁をる余力もないほど暑さでヘバッていたのだろう。

 というか、3年以上前のことなので、なんにも思い出せません!


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~7月の「ちょっと一言云わせて本」~

 該当作なし

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