2018年11月/8冊 最後の言い訳と最後のお礼


  ※ 本編は【小説家になろう】掲載時(2019年6月)の内容のまま

    手を加えておりません。あしからず。 

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 前回投稿(2018年12月)から6ヶ月も間があいてしまうと、これはもう連載とは呼べない気がする。まだまだ書きたいネタはあったし、ほざきたい戯言も

あったのだが、なかなかどうして、気力に体力が追いつかないまま今日に至る。


 ありがたいことに、本を読むことへの熱意はまだ保てている。残念なことに、

それをエッセイに変える意欲がすたれてしまった。

 連載を始めたのが1年どころか3年も前に感じるほど、人生折り返し地点を

過ぎてからの《光陰矢のごとし》ぶりには、唖然とするしかない。

 この6ヶ月、連載再開の機をうかがってはきたのだが「もう歳なんだし、強制

から任意に変えたら?」という躰の声にしたがうことにした。


とりあえず1年間はやりとおせたぞ、とは作者から自分自身への最後の言い訳。

これまで読んでくださりありがとう、とは作者から読者の方々への最後のお礼。


  ビューティフル・ディザスター 下/ジェイミー・マクガイア 2017年11月

  プロメテウス・トラップ/福田和代 2017年10月

  天体議会/長野まゆみ 2018年5月

  シューマンの指/奥泉光 2018年4月

  未来のたね-これからの科学、これからの人間

                    /アイリック・ニュート 2001年6月

  さよならは言わないで 上/ロバート・ゴダード 2017年1月

  宇宙 未知への大紀行1 天に満ちる生命

                /NHK「宇宙」プロジェクト編 2001年4月

  小説以外/恩田陸 2018年5月


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11月の「ちょっと一言云わせて本」

『未来のたね』


 今月は、これまでで最も古い【ツン地層】から2冊も消化したわけだが。

 おかしくないか? 『積ん読消化・事始め』で最下層年代は2004年4月の2冊となっている。それなのに2001年モノが2冊も、ひょっこり、ちゃっかり。

 いつ増えたの? 細胞分裂? 


 しみじみ思ったのは、科学系の積ん読はイカン! ということだ。

 2001年購入って……17年前ですよ。乳児だった子が、来年高校卒業しますって歳月ですよ。理系音痴の私でさえ「流石にコレはもう……」とツッこめるほどに内容が古い。古すぎる。

 たとえば――

「国際宇宙ステーションの建設は始まったばかり」と記されているが。

 2018年現在、ISSはに完成している。

「1989年、アメリカ大統領が2019年に人類を火星へ送り込むことを宣言」と記されているが。

 2018年現在、人類はいまだ火星に送り込まれていないものの、日本が探査機はやぶさを小惑星に送り込み、着陸させ、世界初のサンプルリターンを成功させている(自慢)。


 愛読書の1冊に『アシモフの雑学コレクション』がある。1986年発行の本書を2006年に読んだ際、SF作家とは思えぬ巨匠・アシモフの知的好奇心の広さに舌を

巻いたと同時に、記述の古さにもずいぶんと愕かされたものだった。

 たとえば――

「フランスの数学者フェルマー(1601~1605)は難問を残した。(中略)そのご

3世紀にわたって、多くの数学者が証明しようとしたが、いまだに成功していない」と記されているが。

 1995年、《フェルマーの最終定理》は完全証明され、現在は《フェルマー・

ワイルズの定理》と呼ばれている。


 こうした記述は、真実だったのであり、誤りではない。古い科学系の本には人類の知の進化を発見する愉しみが内包されていると思えば

「イカン!」というより「1冊で二度美味しい」と考えを改めてみたりもする。

 星新一氏編訳による本書は、本当におすすめだ。万能の人、ダ・ヴィンチが

アメリカにもいたという所感。読破しただけで己の知的レベルも上がったような

錯覚におちいること請けあい。



『プロメテウス・トラップ』


 連作ミステリである本書は、『2018年3月』の「ちょっと一言云わせて本」で

取り上げた『それでも警官は微笑う』を薦めていたWebサイトで紹介されていた。FBI、国際サイバーテロ組織、電脳戦、天才日本人ハッカー×天才米国人オタクetc……美味なる単語の羅列に、蛾のごとくふらふらと引き寄せられたわけだが、

『それでも~』がイマイチだったため、過度な期待はいだかず読み始めた。


 なにこれ面白い!

 難しいテーマをあつかっているのに、理系全般壊滅状態という超ド文系人の

私でさえ、すんなりと世界観に入っていけたのは、SE経験者である著者の文章が

とてもわかりやすく、かつ自分の肌に合っていたからだと思う。キャラ建てや

登場人物の関係性も、まったく好みだった。

 主要人物の裏設定には『2018年7月』で取り上げた『スノウ・グッピー』にも

通じるものがあり、趣味領域にもドンピシャだ。澄ました腹黒男ってス・テ・キ。


『未来のたね』と並行して読んでいたので、とんだ偶然にも遭遇した。

「ディープブルーというコンピュータープログラムがチェスの世界チャンピオン、ゲイリー・カスパロフ氏を打ち負かした」という記述が『未来のたね』に

出てくるのだが、『プロメテウス・トラップ』にもまったく同じ話題が取り上げられていたのだ。これには、心底愕いた。

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 ※ 追記

   【小説家になろう】では、ここで打ち切り、完結となっている。

   絶筆してから11ヶ月。スローペースなら続けられるかも……?

   と復調してきたので、連載を再開することにした。

   

   今回の「ちょっと一言云わせて本」は書き下ろしです。

   当時は、これすらも書く気力が養えませんでした(苦笑)。




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