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「藤原氏が隆盛を極める中、地方政治の乱れは、中央政治の動向と深く関わっていた。今日及びその周辺から地方に至るまで、社会秩序は乱れた。地方に行かずとも都の周辺で、盗賊団の首領となる貴族が現れ、『洛中坂東に異ならず』と言われるほど、都の中にも盗賊が横行し、放火が相次ぎ、白昼に内裏に盗賊が入ることもあるほどに、治安は乱れた。中央貴族社会で、無常観や末法思想の流行は、こうした情勢に基づいていた。

 一〇世紀半ばに空也が京都市内で唱え、されに源信が「往生要集」を著していたが、末法思想に基づいて、末法到来の年と考えられていた一〇五二年が近づくにつれて、貴族を中心とした人々の間には、現世から逃避し、阿弥陀の支配する西方浄土恋求める浄土教が、いっそう発達した。

 すでに摂関政治の時代から、政治の退廃と、社会不安が増大し、末法到来の思想が人々の間に浸透し、特に貴族階級を中心に、浄土思想が広まっていた。鎌倉時代に入ると、保元・平治の乱以後の、あい続く兵乱、武士階級の進出を軸に展開される政治的・社会的大変革、さらに天変地異などから、末法思想はますます人々に広がり、貴族はもとより、庶民・武士までもが広く精神的救済を求めていた」

































現代日本。

時は、末法―—―—。








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