第16話ーーおっさんは欲深い
未だスキル偽装スキル玉は出ていない。一般ダンジョンをクリアして神様?にあってお願い事を叶えて貰うという案は既に頓挫している。何故なら以前の世界でローガスはいくつかのダンジョンを踏破しているが、これまで神とやらには会ったことなどないし、過去にもそのような話は聞いた事がないという事だったのだ。
きっとおっさんが神に遭遇したのは、試練を課されたからであって通常は会えるはずもないという事だ。
では早急の問題……そろそろスキルというものを地球人が認識しだしてから1年となる今、鑑定を仕事としている者達の中で(全)となる者が出て来てもおかしくない。まだおっさんはヒューマンという人間っぽい種族名が付いているが、ローガスのヴァンパイアは恐怖の代名詞でもある為に大問題になる事は想像に難くないのだ。それを解消する為には偽装スキルを手に入れなければ何ともならない。
現在の3人のステータスはこうだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
大磯保(41) 種族:ハイヒューマン
Lv137
体力・・・1,415
筋力・・・1,438
魔力・・・125,300
敏捷・・・908
精神・・・869
運・・・542
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<スキル>・・・アイテムボックス・全魔法(全)・魔力操作(全)・剣術(全)・棍棒術(全)・槍術(初級)・弓術(初級)・投擲術(上級)・忍び足・環境適応・気配察知(全)・生命探知(全)・看破(全)・鑑定(全)・罠感知(初級)・罠解除(初級)・性豪・転移・指揮・鼓舞・言語理解・召喚術・テイム・気配遮断(全)・隠形(全)・状態異常耐性(全)・超再生・飛翔
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
アルフォント・ショル・リイク・ガルア・ザルン・ジョシュアス・トラン・キュサック・コーガク・リュセット・シャルカン (22) 種族:ケットシー
Lv269
体力・・・801
筋力・・・791
魔力・・・3,763
敏捷・・・868
精神・・・653
運・・・302
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
スキル・・・剣術(全)・短剣術(全)・光魔法(全)・闇魔法(全)・火魔法(全)・魔力操作(全)・解体術(上級)・跳躍(全)・縮地(全)・気配察知(全)・生命探知(全)・言語理解・罠感知(全)・罠解除(全)・看破(全)・状態異常耐性(全)・変身・超再生・鑑定(全)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ローガス(365)種族:ヴァンパイアバトラー
Lv253
体力・・・985
筋力・・・943
魔力・・・29,803
敏捷・・・851
精神・・・1,175
運・・・258
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<スキル>・・・剣術(全)・短剣術(全)・闇魔法(全)・気配察知(全)・生命探知(全)・解体術(全)・罠感知(全)・罠解除(全)・召喚術・状態異常耐性(全)・縮地(全)・言語理解・看破(全)・魔力操作(全)・マナースキル・魅了・吸血・超再生・鑑定(全)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
おっさんの各ステータスの伸びが激しい。ローガスが日々考察したところ、進化前のおっさんやアル、ローガスはレベル1毎に上がる数値は1〜3であるのに対し、進化後は1〜8のようだ。そして最近はダイエットの為と運動したりもあるが、バージョンアップしたダンジョンの難度が高い為のせいだろうか最大限の上がり幅を見せるものが多いように見受けられる――因みに精神であるが、日々の生活やダンジョンでのおっさんを見る限り数値が働いているように見受けられないが、それは精神攻撃に対する数値であるようだ。普段の生活には役に立たない……弱いメンタルはそのままという事だ。それでも進化によって基本スペックは上がっている為にまだマシになった方である。
「そう言えばなんだけど、前に新木さんと2人でダンジョンに行った時なんだけどね、30階層でサイクロプスを倒したら宝箱が出て来たんだよね。倒すと宝箱ってよくあるの?」
「宝箱は何が入ってたにゃ?」
「それは最下層ですな、ボスを倒すとそうなります」
「えっ?たった30階層だよ?……金貨かな」
「ええ、私どもの世界での認識は最も浅い場所で20階層、深くて100階層でございます」
「いくらになったにゃ?」
「でも何も起きなかったし、何も無かったよ?」
「その宝箱はどうされましたかな?もしやそのままお持ち帰りに?」
「うん、そのまま持って帰って来て、確か次の日に新木さんが提出しに行ったはずだけど……」
「なんにゃ……保は換金してにゃいにゃか」
アルさんは最近お金に細かい。自分は潜っていなくても、おっさんが新木と2人でダンジョンに行く時はアイテムボックスに入る為に、その間に得た金銭は取り分があると言って聞かない。部屋付きダンジョン入り口付近で換金する際も横で見ていて、地面にドサドサと落ちるお金を1円単位まできっちりと3等分する始末である――きっと育ての親であるミルカに似てしまったのだろう……時折夜中に部屋からアルとミルカの聞いてはいけないような笑い声と共にお金を数える声が聞こえてくるとかこないとか……
換金画面はおっさん以外には見えない為に、いくつかを残しておいて手頃の物を探索者協会に販売している……もちろんこれはアルには内緒であり、ローガスの助言である。
「最下層の主を倒した際に出る宝箱はですな、持ち帰ってはなりません。あぁ、中身は構いません、中身だけを取り出すとそこにクリスタルが現れますので、ソレを壊すと踏破となります」
「そういう事なんだ……それで扉を出たらダンジョン前に飛ばされたんだけど、それは?」
「最下層の主を倒した後に正しく宝箱を処理しない場合のみ飛ばされます。ズルをするなと言う事でしょうかな」
どこかで聞いた事のある童話のような仕組みである……欲張って箱をもなんて考えたらダメだという事だ。
なんていやらしい罠だろうか、公表していないだけかもしれないが、世界のどこからもダンジョン踏破報告がないのが理解出来てしまう。
「んで踏破するとどうなるの?資源になるだろうっていうのが曖昧すぎて分からないんだけど」
「クリスタルを壊すとダンジョン自体が明滅します、その後そのダンジョンが産んだモノ達は消え、正しく資源がそこら中にあるようになります。例えば薬草だらけの洞窟、鉱石だらけのといった感じですな。あとは食用出来るものの場合もございます」
「食用できるもの?」
「ええ、とても不思議な事ですが……木にパンがなったり、食事の入った実が出来たりと……多分一般的に流通していると思われる料理が実の中に入っているのですよ」
「何それ!?美味しいの?」
「不味いにゃ」
「味はほとんどしません、ただ腹は膨れるというだけでございますな。貧民の為の食糧とも言われております。以前の世界においてはだいたいがどこかの国が軍を派遣する事で出入り口を管理し、金銭を徴収していたと思われますが」
異世界って不思議……
いや、地球上にダンジョンがある現在においてはすぐそこにある未来だ。貧民の為の食糧とは身も蓋もない言い方ではあるが、確かに資源でもあるし、世界の食糧事情は一気に解消されるだろう。
「どのダンジョンが何の資源に変わるかは分かるの?」
「いえ、全くのランダムのようです。ただ鉱石に関しては50階層以上の所でないと出現しなかったようですが」
そうは簡単にいかないようだ。
ただ現在のおっさん達のステータスならば全てのダンジョンをクリアするのは簡単だろうが、本人達にやる気がないので仕方がない。そもそもアルとローガスは自分達が楽しければそれでいいのだ――ただ料理のなる木を見てみたいと夢見るおっさんもいるのだが。
「そんな関係ない事はいいにゃ、早く偽装スキル探すにゃっ!」
3人はそれぞれ武器を持って走り出す。レベルが上がっている事もあり、サクサクと首を刎ね、燃やし、凍らし、貫き続ける……そしてドロップを回収する。
だが物欲センサーさんは絶好調だった。1日に数百以上のモンスターを狩り続けているのに、一向に出る気配はない。それどころか滅多に出ない言われる変身スキル玉などがゴロゴロと落ちる始末であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます