44 微熱

 我が創作的情熱は、その微熱から冷め始めている、…

 古びたペンは折れかかり、我が脳内の寂寞とした世界は、薄靄の中に埋もれつつある。未だ、それでも私が己の意志によってペンを手放すつもりはない。されど、ペンは現実の塵労の重さに折れるやもしれない。私の脳を圧迫するそれは、日増しに湿度を増幅させた不快な曇天の下、我が視野を確実に蝕んでゆく。………


 蜘蛛の糸は千切れ、この罪人を突き墜とし、天界へと還るのでございましょう。

 天界の蓮の花は、それでもただ、美しく嗤っている。

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