41 道徳と悪魔

 道徳とは、世間的正しさへの志向である。

 道徳は、「正しさ」と等価値ではない。

 道徳者たるものは、畢竟、世間的正しさを体現するものである。

 すなわち、それは現代に最も適応した「正しさ」を保有するものである。…

 私は道徳を貴ぶことがない。私は世間的正しさを、こと現代におけるそれを、訝しがらずには居られぬものである。

 誹りは甘んじて受けよう。私は世間的正しさへの盲信より、それを疑い、己の脳によって考えることを好む。

 惡と言われても、否定などするつもりは毛頭ない。私は私の正しさを思考し続けるものである。それは時に世間的惡たりうる。

 道徳の仮面に甘んじるのは私にとってただの怠惰である。私は私の「道徳」を、この生涯をかけて智慧と理性の信奉によってのみ、産み出すことを望む。


 たとえ悪魔であろうと、偽物であるよりは美しい。

 私はそう信じている。

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