36 春夏秋冬

 春は其処彼処でひっそりと芽吹く命のうちに我々へ生命力と活力を与える。

 夏は灼熱の太陽の下、我々に水の清さと一滴の有難さを説く。

 秋は夕暮れの寂寞と共に、我々に芸術と思索の一時を齎す。

 冬は濃密な死の香りをもって、我々にペシミズムの一端と再生への希望を魅せる。


 自然とは克服すべき無法者ではなく、ましてや庇護すべき赤児ではない。

 人類にとって最も尊く偉大な、そして決して辿り着くことのできない教師である。

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