14 ネクロフィリア
私はネクロフィリアである。隠蔽する必要もなかろう。これは嗜好であると同時に、疑いようもなく一種の病である。
しかし、私は屍体のみを特別に好むわけではない。私が好むかどうかの判断材料は、ただそれが純然たる『肉体』であるかどうかによる。
私は肉体と精神を持ち合わせている。その二つは、私を常々引き裂きながら、この世界に私を頑強な鎖で繋ぎ止めている。
私のネクロフィリアは、つまるところ二元論の産物である。精神を放棄し、純然たる『肉体』になりきりたいという、一種の強欲に他ならない。それは堕落である。性対象が屍体であれば、我が高邁(無論多分に皮肉が込められている)な精神はその理性を必要としない。つまり、その一瞬間だけ、私は純然たる『肉体』へと変貌を遂げることができ得るのだ。
私はネクロフィリアである。それは、還元していけばつまり、生に対する反逆であり、理性に対する疲弊と嫌悪であり、そして生きる人間の喧しさに辟易とする私の神経過敏である…………
※『肉体』とは『性欲』と概ね同意である。ただし、あくまで『概ね』である。
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