Ugly, You are ugly!

 やっぱりか。

 ささ明梨あかりはクラスカースト最上位の女子だ。方々に顔が利き、クラスメートの言動と行動をある程度支配下に置くことができる……その笹木がどうにもイジメに加担しているらしい。前々から目星はついていたけれど、被害者の一人が生徒会に訴えたことで明るみに出た。驚きはない。そして、笹木はこの事実を揉み消そうと動くだろう。



「ああいう手合いは教師陣センコーからの心証もいいからね」

 私は生徒会室で、タレコミをしてきた生徒と向き合っていた。クラス委員の彼女は、笹木の校則違反……両耳のピアッシングを咎めた。

「そのときは笑いながら、ごめん気づかなくて、ヒマ見つけてやっておくね、って言ってたんですけど」

 一向に改善される気配がないので、再度注意した。それが引き金だったという。

「本当にその次の日からだったんです。友だち全員から距離を置かれて……メッセの既読無視とか、あっても1日越しとか。それで他のクラスの友だちに言ってみたんですけど、今度はその子も無視されるようになったとかって……」

 彼女はスカートを握りしめながら言った。

「お願いします。これ以上、拡げないでください」

 正直なところ、生徒会が勝てる相手かはわからないが。

「任せて」

 それと、安心して。そう言うより他にないのだ。







「平塚さんじゃん。何してたの?」

 放課後。生徒会室を出たところで、笹木に甘ったるい声で話しかけられる。ルックス抜群、基本さん付けくん付け、先輩には敬語。成績もいい……こいつから加害者の臭いを嗅ぎ当てるのは至難の業だ。

 私も去年は同じクラスで、案の定対立して無視されたと思っていたからここで遭遇とは予期していなかった。

「ちょっとね。笹木さんは? 生徒会に興味あるの?」

「あっはは、面白いこと言う」

 目は笑っていなかった、そして――そのままノーモーションで、胸倉を掴み上げてきた。

「調子乗りすぎないでね? ちょこまかしてんの知ってるんだから。正直、目障り」

に任せないであんたが直接出張るってことは、相当キてる?」

 笹木の顔面が歪む。

「くそ女」

「てめえがな」

 笹木は唾を吐いた。そいつは忌々しくも私の目を直撃する……沁みる、が、それどころではない。

 笹木は腕を離し、おどけた様子で数歩、下がった。

「――じゃあね。あ、あたしが『捏造です!』って泣いたら一発だかんね?」

 ちろりと舌を見せ、笹木は笑う。

「その前に証拠固めて、あんたの天下を終わらせてやるよ」

 私も笑って、ファックサインを突きつけた。


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