高嶺の花のお戯れ
「どう? 今夜……もし暇なら」
「そ、そんな私なんかが……」
「何言ってるんだよ。君だからこそ……さ」
ここは
その中でも、とりわけ花形とされる乗馬クラブのキャプテン・
「丸の内のお店に予約を入れてあるんだ。二人きりで楽しもう。退屈なんてさせない。忘れられない夜にしてあげるよ……」
その雫が今、殺し文句とともに奈々美の顎元にその瑞々しくも美しい指先を這わせている。奈々美が自分に靡かないことなどあり得ない、というかのように。
事実奈々美は靡きまくっている。容姿端麗文武両道、才色兼備の高嶺の花まで数センチ! 白昼堂々校内でこれをされると、頭が茹だって正常な判断ができなくなってしまう!
「あ、あの、あのあのあ、わ、わたひ……」
周囲を黄色い声のギャラリーに取り囲まれ、目の前には微笑の雫。もはやこれまで、観念したその時、ギャラリーから一歩進み出た人影が、そのまま雫の頭に小気味いいスラップをかました。
ギャラリーがざわめく。
「っつつ……なんだよ
「いいところもへったくれもないわよこの無差別女たらし! ごめんなさい、坂本さん、だったかしら? 変なことされてない?」
参戦してきたのは
「嫉妬かい? 見苦しいぞ向日葵。大体彼女は私が前から目をつけて……」
「まぁ、口さがないうえに品もないと来ているわ。そんなに女の子をたらしこみたいなら、退学届を出して頂戴」
学院二強の激突!がしかし。
「……それに、坂本さんの意志を聞いていないわ」
「えっ」
「そうだな……それを聞いてからでも遅くはない」
「ちょっと」
「坂本さん」
「坂本ちゃん」
「デートするなら……」
「どっちとしたい?」
奈々美は失神した。
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