Shoot it Now!
スカートの内ポケットから、ポリマーの9ミリ拳銃を引き抜く。引き金をハーフコック、スライドを引いて初弾を装填。同時、プレハブのドアが蹴破られ、けたたましい銃声が響いた。散弾銃だ。
「小菅! 出てこい! 」
誰が出て行くかよ、と毒づいて、規子はすぐさま引き金を引いた。3発、確かな手応え。隙間から覗き見ると、プレハブの入口で男が血を流して倒れていた。
「このアマ! 」
仲間がいたらしい。だが動揺し、チームワークに乱れが出ていた。それを逃さない。連続で、目標の
ストライカー式のトリガーフィールは独特だ。慣れるまでは時間がかかるが、規子の場合は慣れてからクセになった。この銃はフルサイズに比べて少なめの8連発。スライドはアルミで、銃本体の軽さも相まって扱いやすさは随一だ。
「畜生ーっ! 撃て、撃てっ」
散弾銃が
既にプレハブの内装はズタボロだ。窓はすべて割れている。リノリウムで覆われた入口の床には、規子が倒した男たちの血が拡がっていた。
規子は唇を舐め上げ、不敵に笑んだ。姿勢を低く、ベッドの脇……敵の死角に這いつくばり、隙を窺う。
「くそっ……なんて女だ」
血の海を踏みつけながら、最後の一人が侵入してきた。よもや拳銃1丁を相手にここまで手こずるとは思っていなかっただろう。規子は腕が立つ。対するこいつらは、持っている銃だけは一丁前だがやりかたが素人だ。普通は爆弾で建物ごとふっ飛ばすか、さもなくば燃やすべきだ。反撃の猶予を与えた時点で勝ち目はない。
最後の男はライフルだった。セミオートだが大口径で、威力は絶大だ。弾速も速い。うまくやらねば危ない。規子はするりと、ベッドの上の枕を引っ掴んだ。
そのまま投擲する。
「っ! 」
反射的な銃撃。ボルトが後退するその時間で充分だった。
2発、吠える。男はライフルを取り落とし、崩れ落ちた。後には、鈍い血と硝煙の匂いが燻っている。
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