「うーん…」

アキから貰った詞に音を繋げていく。作曲は学生時代に習った以来、してなかった。

少々苦戦しつつも、その苦戦さえも真由子にとっては楽しみに変わる。


8割くらい出来上がったときだった。中学のクラスメイトのカナから電話があった。カナも真由子、アキと仲良かったので、こうやってたまにだが連絡が来る。カナとアキは家族ぐるみで仲が良いらしい。



「あ、カナ?久しぶり。どうしたの?」

真由子の耳にまず入ったのは、騒然とした音や声、それに救急車のサイレンだった。


「真由子…どうしよう……」

「どうしたの?」

「アキが…事故に遭っちゃった…」



「え…。」

「とりあえず、中央総合病院に運ばれたから、来て……」

プツリと電話が切れた。と、同時に真由子からの手からも、携帯がするりと落ちた。



嘘……嘘…だよね。まさかアキが………



急いでタクシーで指定された病院へ向かう。



お願い…アキ、無事でいて!



「カナ!!」

「真由子…アキが…アキが……」


真由子の願いはむなしく、叶わなかった。



「アキーーー!」

どれだけ叫んでも、どれだけ泣いても、アキとは二度と会えないことには変わりなかった。

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