7.大海の支配者Lv.1


一旦、状況を整理しようか。

オレはこれまでの冒険(チュートリアルパート)を整理する。


まずは、異世界に転生しました。

ここは深く考えたら、泥沼にハマる。考えちゃダメなやつだ。


よし、次。


情報収集の後、スライムをテイムし、モンスターも討伐、やっと異世界の第一歩と言った感じだ。


ここも問題無し。次。


アマルギアがメイド美少女になりました。考えるな。これも無視だ。

そのあとは、武器を買って装備を整えました。

そしてそのまま流れでダレットに試し斬りに連れていかれてグランドウルフと大熱戦を演じ、辛くも撃破した。


はい、ここ。

ここでストップ。


昨日は最凶のモンスター、グランドウルフとのたまったが、ホントにそうだろうか?

グランドウルフはウルフ系の派生モンスターで、ポチウルフ→フォレストウルフ、そしてその亜種派生でグランドウルフだ。


まずポチウルフだが、ちょっと大きめの野良犬だ。元の世界でも居た。いや、野良犬見たことないけども、元の世界で。

どちらかと言うと、近所の怖い犬とかそんな感じだ。

結局何が言いたいかって言うと、転生直後でも頑張れば素手で殴り勝てるかもしれない相手。いわゆる雑魚。


それが進化してフォレストウルフになると強くなって元の世界でのオオカミくらいの強さになる。

一般人が襲われればひとたまりもないが武装すれば勝てる。

システムでの恩恵とやらでステータスが伸びるこの世界ではそこまで苦労する相手ではない。


そして最後に昨日戦ったグランドウルフ。

これはフォレストウルフからの亜種派生ってだけで進化ほど劇的に成長するものでもない。

どちらかと言うと、群れのボスとかそんな感じだ。


立ち位置的には、某ハンティングゲームならドスなんちゃら、黄色ネズミゲームなら最初のジ○リーダーを倒した!って感じだろうか?

現にダレットは試し斬りと言って5、6匹をまとめて相手して、特にダメージを負った様子もない。


はい、結論。


オレはまだほんとにチュートリアルパートが終わったって程度だ。

調子に乗ってはいけない。

昨日の夜、エルさんの酒場で、助けた厨二くん(ハーメルとか言っていた)と一緒に強敵を倒したと調子に乗っていたら、ダレットとメニカさんに笑われてしまった。エルさんに関してはもう孫の成長を見守るおじいちゃんの優しい目だった。

もう調子には乗らない。(戒め)


とまあ、恥をかいたのは別にいいとしても、昨日あれだれ苦戦したグランドウルフがこの辺りのダンジョンでは最低レベルのモンスターというのは問題だ。しかも群れで相手をしたとしてだ。

これは困る。

少なくとも夢のマイホーム、夢のマイダンジョンを手に入れるのは必ず超えなければならない壁であろう。

心地よい無料馬小屋休憩所で、あるが流石にプライバシー、というものが欲しい。

最速でダンジョンを攻略してマイダンジョンを手に入れたい所だ。


そのために暫くはグランドウルフの群れ討伐を目標に頑張ろうと思う。


オレは現状確認のためにコアメニューを開く。


『ステータス』

HP:242/242/242

スタミナ:153/154/154

MP:176/176/176

物理攻撃:99

物理防御:116

魔法攻撃:93

魔法防御:132

敏 捷 :143

スキル

[テイム系統]:テイム(C)、[水系統]:ウォーター(D)


---


昨日なんだかんだでグランドウルフを倒したことでステータスは伸びている。

エルさんの情報によるとグランドウルフの平均ステータスは200あたり。

群れを討伐となると平均300程度のステータスが必要になるとのこと。

これくらいでようやく脱初心者で中級者と認められるくらいのようだ。

ステータス平均300をグランドウルフの討伐と同じく最初の目的に据えようと思う。


まあこれがステータス面の話。

そして真面目に考えなくちゃならないのがスキルだ。


まあまあ異世界転生ものでよくある主人公がチートやらレアなのを特典で貰ったり引き当てたりして無双するやつ。

特典でスキルを貰えない系だとゴミだゴミだと言われるスキルを取得すると知られてない使い方があったり元の世界の知識と合わせて使用するとぶっ壊れになるのが鉄板。

なのだが、問題はこの異世界、であること。


要はこの世界の住人のほとんどがチート。

チート対チートのチートのためのチートによりチート大戦。

それが転生魔王戦線。


四天王達で言うと、幻獣帝モルディアは四天王の中ではそこまでぶっ壊れではないらしいが、特殊強化状態に移行するスキル『ルナティックモード』を使用する。

効果としてはステータスを2倍にし、全スキルのランクを1つ押し上げるらしい。

スキル『狂化』の派生系で純粋な超強化型の頂点と言っていい。


それに対して真竜姫ルーイは『完全竜人化』というパッシブスキルでステータスの種族から既に竜人へ変更されているらしい。

簡単に言うとモルディアの『ルナティックモード』がデメリット無しで常時発動してるようなものらしい。

これがこの世界の1vs1タイマン最強生物たる所以らしいと。


そしてタイマンでないなら、キングファーザー・エルディーノだ。

なんと無限の軍団を召喚する正体不明スキルを使用するらしい。


次に冥君ラグはネクロマンス系の奥義、魂の操作スキルを保有するらしい。

最後、調停者ネアの持つスキルは相手のスキル強制解除スキル。

対スキル特攻スキルという意味不明スキルで、相手だけスキル無しでの戦いを強制する極悪スキルと名高い。


あとは身近な所だとダレットが『ウェポンマイスター』というスキルで如何なる武器でも最高練度での使用が可能で、某金ピカのゲートオブ○ビロンのような戦いができるらしい。



とまあここまで色々スキル構成を列挙したが、ぶっ壊れとなるスキルの殆どは補助スキル。というか補助スキルの殆どがぶっ壊れになるらしい。

なので基本的なスキル構成は自分の好みにあった補助スキルを1〜3個程度とそれに合わせた索敵系のスキルや攻撃スキルなどを積むことになる。


まあ実は試してみたいスキルは既に決まってるだけどね。

オレはコアメニューのパネルを操作する。


『残りスキルポイント:212P』


ふむ、

だいたいスキルを取得するには初歩Dランクスキルが100P、初級Cランクスキルが200Pかかるから、今のポイントだと実戦で使える初級Cランクスキルを取得すると、ポイントを使い切ることになる。


が、オレは躊躇わず初歩Dランクスキルを2つ取得する。

取得したスキルは使用し続けることで練度がたまりランクアップできるからだ。それに補助スキルは最初のうちは単体で効果が薄くても特に問題ないというか、普通そういうものだ。


▼▼▼


ということで、VSポチウルフ。

通称、野良犬。(オレが決めた)


「今回はアマルギアは手を出さないでくれ。」


まずは新スキル、1つ目!


「行くぜ、『水纏い』」


発動と同時に手にマナが集中し、水に包まれる。特定の部位に水を纏わせる水魔法系補助スキル。

そして水に纏わせたとこ、ろ、で…、


オレは『水纏い』を使用した手元を眺める。

これ、水を纏ったと言うより、

それか雨の日の靴下。

何が言いたいかって言うと、感触最悪。

流石Dランク。


「まぁいい!『流体操作』!!」


これがオレの狙い!手に纏った水を操り、重く扱いにくい大剣を片手剣かナイフのように扱えるようにするコンボ。

昨日の戦いでアマルギアが使用したコンボだ。

さぁ、いざ…、?!


「うえっ?!!」


思わずフランベルジェを放り投げる。


何か手の周りがゾワッとした…、、、

Dランクの流体操作か…


オレがゲテモノ感満載のデバフスキルで自爆している間にアマルギアがポチウルフを蹴り飛ばし経験値に変える。


「使い方が不味いのか…、もっと剣に纏わせるように…、『水纏い』!」


手に纏っていた水が刀身に移動する。

それと同時に手のぐしょぐしょ感が和らぐ。


「おお?!これならいける!『流体操作』!!」


っあ!?

フランベルジェが手からすっぽ抜けそうになる。

前回は上手く流れに添わせて剣を操れた流体操作と違い、釣竿を魚に引かれているかのような感じだ。

これただの妨害スキルでは?


…、ケチらずにちゃんと初級Cランクスキルを取れば良かったかもしれん。


まあ、でもとってしまったものは仕方ない。

オレはこのスキルコンボを極めて、最終的には大海の支配者とかそんな感じになるって決めたんだ。

目指せ、流体マスター。


ああ、憧れの流体マスターになりたいな、ならなくちゃ

絶対なって、やるーーー!



『現在ステータス』

HP:242/242/242

スタミナ:153/154/154

MP:176/176/176

物理攻撃:99

物理防御:116

魔法攻撃:93

魔法防御:132

敏 捷 :143

スキル

[テイム系統]:テイム(C)、[水系統]:ウォーター(D)、水纏い(D)、流体操作(D)


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転生魔王戦線 ~旧魔王城は吹き飛びました~ 赤田 沙奈 @akasatan1204

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