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SCP-1077-JP『誰でもできるコウモリ入門』って、結局何なの?
Trick or Treat! お菓子をくれなきゃコウモリにするぞ!
中々久しぶりの登場、
今回はSCP-1077-JP『誰でも出来るコウモリ入門』です。作者であるfurabbitさんが『私の作品はまだ解説とかされてないよ』とTwitter上で言ってたので、俺が初になってやろうと思います。それでは、言ってみましょう。
☆
SCP-1077-JPは最初Euclid、次にSafe、更にその次にEuclidです。OCの変更が複数回行われている時点でもう危険そうですけどね。
そんなSCP-1077-JPは普段、サイト-8102にある不透明な衣類用のケースに入れてロッカーの中にぶち込んで置きます。もし取り出すようなら、絶対に何人かで行う必要があり、実験の時以外は無暗に着たり矢鱈に見たりしないよう注意する必要があります。
このSCPは何か巻き込んで活動する系なので、SCP-1077-JP-AやらBが存在します。SCP-1077-JPの実験をする時にはDクラスを用いる事が可能で、
☆説明
先ほどのプロトコルを見ると、『衣類用の~~』と書かれていたように、SCP-1077-JPは可愛らしくデフォルメされたコウモリのパジャマです。
この服は結構可愛くてですね、フードにコウモリの顔と牙、首には蝶ネクタイまたはリボン、腕にはドラキュラが『バサッ!』とやるような羽みたいな奴、背中には三角形の尻尾が付いている、████社のモノです。普通に欲しい。
……と思いきや、家庭用品品質表示法違反と思しきところがあります。生地はポリエステルを100%使用と書いてあるのに、未知のコウモリの体毛で出来てるではありませんか! 更には通常████社と書かれるところに
非活性状態、要するに誰も着ていない状態のSCP-1077-JPは、自分を視た人間に対し、『あっ! こんなところに可愛い服があるで。着たいな~』という精神状態にさせます。『何これ(興味無し)』という状態では全く効果が有りませんが。そうして自分を誰かに着させると、フードの部分が着用者の身体とどんどんくっついていきます。それから2~4分ほどで、着用者は自身の体重・身長そのままのSCP-1077-JPにそっくりなコウモリになります。その間着用者は一種の催眠・トランス状態に陥っており『あ~~、俺今コウモリになってるの分かるわ~~』となります。ハロウィンで着れば人気者間違い無しです。俺は着たいと思いませんけど。
着用者がSCP-1077-JP-Aとなった後は、コウモリのように空を飛んだり、コウモリのように血を吸うといったコウモリの習性を持ちはじめます。しかし、元々の着用者の性格は有しておらず、あくまで『乗っ取られた』形になります。
SCP-1077-JPはImaginanimalだからか、形而上存在でのやりとりが可能です。それはまた補遺2で。
このSCP-1077-JP-Aの性質としては以下の通りです。
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1.光を嫌います。変異完了後すぐに光の極力届かない環境を探し、そこを住居とします(ただし、これは暗い部屋タイプの生物収容室に保管すれば大丈夫です)。
2.エコーロケーション(超音波で回りの情報を知ろうとする行為。イルカなども出来る)のためか、頻繁に超音波を発します。この音波は人間の可聴域外ですが、曝露者は弱い不快感を報告しています。
3.食性は哺乳類の血液であり、特に人間のものを好んで摂食します(自然の中で生きていれば、日没後に狩りに出かけます)。
4.直接視認した人間に「上記3つの性質を持たない、危険性のない生物である」と思わせる弱強度の認識災害を有します(意外と厄介ですが、人型サイズのコウモリが出てきたりしたらそれどころじゃありませんよね)。この効果は他のSCP-1077-JP-A個体を含むコウモリ類全般にまで影響を及ぼしますが、クラスA記憶処理によって除去可能です。
5.写真・動画・監視カメラ等による撮影が不可能です。全ての試みはただ実体が存在しないかのように空間が撮影される結果となりました(SCPがカメラで撮れないとは。欲望カメラなら撮れたりしないかな)。
6.これらの活動にもかかわらず、通常は3~10日のうちに衰弱死します。
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また、SCP-1077-JPがどんな方法で―――例えば安楽死しても―――死骸の7割が塊で残っていれば、そこから数分掛けて灰状の微粉末に。そうなれば、着用者はプロトコルに書いてあった『素体』という形で復活しますが、自分がSCP-1077-JP-Aになって『ワイはコウモリやで!』とか言ってた記憶も無くなり、更にはSCP-1077-JPに興味を一切示さなくなり、手放す事までしようとします。そしてそれが別の人の手に渡って……という事がになってしまいます。
そもそもSCP-1077-JPの発見理由はというと、20██月10月31日(ハロウィン!)に██県██市で報告された事案で、『巨大コウモリに襲われた』なる事が起こりました。まあ『良く出来てる仮装ですね!』と近づいたら身体をガブッとやられそうになったと。そりゃ怖いわ。
その後の調査でそのSCP-1077-JP-A個体は確保・収容されましたが、なんせ本体はそれじゃないので、SCP-1077-JPが本体だと気付いた後SCPオブジェクト指定され、フィールドエージェントの捜索により、SCP-1077-JPが4着、SCP-1077-JP-Aが2個体発見されました。……結構多くない?
後、SCP-1077-JP個体は二人とも記憶処理の後解放されています。
☆補遺1
20██年11月21日、
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7.光を嫌う様子はありません。暗室タイプの収容チャンバーには入ろうとせず、通常の光源下で活動を行います。
8.食性は血液食ではありません。実験観察の結果草食と見られ、特に果実・花を好みます(コウモリがリンゴとかバナナ食べるんですか)。
9.超音波の発声及びエコーロケーション能力は認められません。可聴周波数域での鳴き声を発します。
10.認識災害効果および撮影障害についてはこれまでに確認されたSCP-1077-JP-Aと同等です。則ち、認識災害の内容は実体の能力に一致しています。
11.人間の存在を認識すると積極的に視認されるよう立ち回ります。それ以上の接触および危害を加えようとする様子はありません(いわゆる構ってちゃんなのでしょうか?)。
20██月12月21日現在、他のSCP-1077-JP-A実体と異なり衰弱死することなく安定して収容が維持されています(なお、人間が見えなくなると収容室から出ようとしますが、手先が不器用すぎてドアノブを開けれないので出れません。可愛い)。
現在この実体はSCP-1077-JP-A-06として定義されています。
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今までとは全く違うSCP-1077-JP-A個体が出現してしまいましたね(2回目)。果物を食べるコウモリ……。確かそんなのもいたような気がしますが、今までのSCP-1077-JP-A個体に見られた衰弱死もありません。これは一体どういう事でしょうか? その答えは、補遺2にあります。
☆補遺2
20██年01月04日、SCP-1077-JP-06が担当の██博士に対し、日本語で喋りかけました。
以下はその<会話記録/抜粋>です。
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SCP-1077-JP-A-06: あの。あの。人間さん。ちょっとお願いが。
【このSCP-1077-JP-06個体には、素体となった
██博士: おお? ……と、あなたでしたか。会話もできるんですね。
SCP-1077-JP-A-06: ここから出してもらえませんか? 良くしてくださるのはいいんですが。誰にも見られませんと。ちょっと。
██博士: すみませんが……いえ、まずあなたは何者なのか聞かせて頂けますか?
SCP-1077-JP-A-06: コウモリです。オオコウモリです。人間さんたちの想像の中に住んでいます。
██博士: あなたはD-330649では?
SCP-1077-JP-A-06: いえ。今喋っているのはこの人じゃないんです。この人には広告塔になってもらおうと思って。やっと僕たちを正しく知っている人が着てくれたので。
██博士: 広告塔、ですか。それはオオコウモリについての、ですか?
SCP-1077-JP-A-06: はい。僕たちももっと想像の中に置いてほしくて。チスイの奴らばかりでなく。存在の危機なので。
██博士: なるほど。あー、しかし……その人の都合は考えませんでしたか?
SCP-1077-JP-A-06: ううん。着ようと思ってくれたんです。コウモリになりたかったんじゃないんですか?
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はい、このインタビューで分かった事が3つありますね。まず、このSCP-1077-JPの異常性の本筋である『自身を着させる』という能力を故意的に使っている自覚が無かった事。もう1つは、『他のコウモリどもは血を吸ってばかりだが、自分は違う』と人間に伝えたかったらしい事。そして最後は、こいつがオオコウモリ(Pteropodidae)だった事です。
オオコウモリは、他のコウモリと違う点が多く存在します。例えば、先述したように果物を食べたり―――というより果肉を噛んだ後果汁だけ飲んで後はペッするだけですが―――エコーロケーションも殆ど出来ず、暗い洞窟では無く森林を住処としています。そして、SCP-1077-JP-A-06個体は研究員に対し『存在の危機』と発言してる事から、絶滅でもしそうなのでしょうか?
その後のSCP-1077-JP-A-06個体との対話の結果、オオコウモリについてフィクション・ドキュメンタリーどちらもの知識をしっかり得た状態である事を条件に、全SCP-1077-JPの回収・再製作は止めになりました。SCP-1077-JP-A-06との対話の結果、自分を作った『協力者』がいる事も分かりましたが、もう特定も出来ませんでした。
という訳で、『協力者』をサラッと要注意人物に指定しつつも、SCP-1077-JPはSafeクラスオブジェクトとなりました。いやー、よかったよかった。
でもこのSCPって、Euclidに昇格されてましたよね?
報告書が更新されました:21 時間前
+ 追記1/SCP-1077-JP担当職員のみ参照可能
参照しますか?
【YES○/NO】
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追記1
一昨日、SCP-1077-JP-A個体の例が新たに出現(SCP-1077-JP-Bと指定)確保されました。実験結果によると、オオコウモリの次は、今までの個体と同じ認識災害を持つヒナコウモリ科(Vespertilionidae)(食性は昆虫。エコーロケーションも出来る)です。すぐさまSCP-1077-JPをEuclidに昇格させなおし、『協力者』の予算も新しく割り当てられました。
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あれっ、亜種出現? ウソでしょ?
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報告書が更新されました: 2 時間前
+ 追記2/SCP-1077-JP担当職員のみ参照可能
参照しますか?
【YES○/NO】
追記2
昨日、更なるSCP-1077-JP個体が複数出現しました。以下の通りです。
暫定オブジェクト番号 概要
SCP-1077-JP-C ハリネズミ科(Erinaceidae)の特徴を有する個体
SCP-1077-JP-D ヤマアラシ科(Hystricidae)の特徴を有する個体
SCP-1077-JP-E ナキウサギ科(Ochotonidae)の特徴を有する個体
SCP-1077-JP-F ウサギ科(Leporidae)の特徴を有する個体
SCP-1077-JP-G アシカ科(Otariidae)の特徴を有する個体
SCP-1077-JP-H アザラシ科(Phocidae)の特徴を有する個体
SCP-1077-JP-I トカゲ科(Scincidae)の特徴を有する個体
SCP-1077-JP-J ヤモリ科(Gekkonidae)の特徴を有する個体
SCP-1077-JP-K カナヘビ科(Lacertidae)の特徴を有する個体
ああもう。 —██博士
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あれま。SCP-1077-JP-Aと合わせて、1、2、3……あ、合計で11体いますね。██博士も若干諦め混じってますし、一昨日の時点で察しは付いていたのでしょうか。
これはEuclid格上げしても仕方が無い。
☆締め
まあ、このSCPがやりたかった事っていうのは、自分達の存続の危機を感じ、『人間に忘れて欲しくなかった』ってところでしょう。そこに『協力者』が現れ、たまたま実現出来た。そしてオオコウモリ達が実践し、成功(と言って良いのものか)した噂を聞きつけた他の動物も『俺たちもやってー!』と言い、補遺2みたいになったのでしょう。わざわざ―――
SCP-1077-JP『誰でもできるコウモリ入門』
こんなキャッチコピーを付けてまで。
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CCクリエイティブコモンズライセンス
http://ja.scp-wiki.net/scp-1077-jp
SCP-1077-JP - 誰でもできるコウモリ入門
著者: ©︎furabbit
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