◇126◇冒険者ギルドの仕様の違い
さて、これからの事をどうするか。
ペットを連れて街に入っても問題なさそうだけど、建物内に入れていいものか。特にジーンは、犬にしては大きいと思う。
僕には、犬に見えないからどれくらいの大きさに見えているのかわからないけど。
「うーん。ジーンをどうしたらいいかな?」
「うん? そうだね。宿屋はきっとダメだろうね。犬に見えるけどかなりの大型犬だし。森で問題ないなら俺達が、街にいる間はここに居てもらうのがベストかな。出来れば、リリンも」
「リリンも!? 狩られたりしない?」
「ジーンと一緒にいれば大丈夫じゃない? せっかくフードで顔を隠して目立たなくなったのに、今度はクテュールが目立っちゃうよ。後、小さいけど動物だから宿屋でいいと言われるかどうか」
「そういうもんなのか……。だったらお金かかるし、森で寝泊りしようかな?」
「えー! 宿屋に泊まろうよ。一度、泊まってみよう! ね!」
イラーノは、野宿は嫌みたいだ。
まあ、危険がないとはいえ、ベットで寝たいよね。
「わかったよ。今日は宿に泊まるよ。そうだ。依頼もどんな感じか、冒険者ギルドに戻って見てみよう」
「うん。そうしよう」
『街へ戻るのか?』
ジーンが寂しそうな声で聞いた。
「えっと。街へ行ってくる。後で一旦戻っては来るけど、今日は街に泊まるからジーン達はここに居てもらっていい?」
『わかった』
『私も?』
「うん。出来るだけ二人でいて。一応飼い主がいるってわかるとは思うけど、僕達以外の人には近づかないようにね」
『了解した』
『わかったわ!』
「ありがとう二人共」
僕は、ジーンとリリンに手を振り、冒険者地区の街へ向かう。街の中に入るもイラーノは、フードをかぶっているので誰も振り向かない。
「全然違うね」
「やっと落ち着いて歩けるよ」
僕達は、先ほど来た時とは違い目立つ事なく、冒険者ギルドに辿り着いた。
そして、ギルドの建物を左回りにグルッと一周してみる事にする。
「うんじゃ、雑役に入ってみる?」
「うん。いいのあるといいなぁ」
僕達は、最後に辿り着いた雑役に入った。
討伐と同じで、入って左手に二階に上がる階段がある。違いは、右の壁にドアがない事ぐらい。
中には、数人の冒険者がいた。
冒険者の服の上には胸当てなど何もつけていないし、剣も下げてない冒険者もいた。僕達の様に、戦闘が出来ない冒険者なのかも。
依頼は、☆ごとに分かれていた。
衝立のは、☆3しかない。奥の壁に掛かっているのが、☆4以上みたい。
ここは、紙が貼りつけてあるのではなくて、手のひらサイズの小さなボードが掛けてありそれに、☆と仕事内容が書かれている。
「これ、住宅地区の病院のだ」
ひょいっとイラーノは、ボードを手に取った。
よく見ると裏にも何か書いてある。
「ねえ、裏にも何か書いてあるみたいだけど」
「あ、本当だ」
クルッとイラーノは、ボードを裏返す。
詳細が書かれているみたいで、ジッと見ている。
「一時間、1,000Zだって」
「それって、安いの高いの?」
「どうなんだろう?」
「あ、こっちの地区の治療のやつもあるよ」
僕は、それを手に取った。思ったより柔らかい素材だ。何で出来ているんだろう。
冒険者地区病院。患者一人最低500Z。滞在時間丸一日。
「滞在時間って何だろう?」
「うーん。俺達がいた街とは色々と違うみたいだね。カウンターの人に聞いてみようか」
「それがいいかも」
僕達は、両方のボードを持ってカウンターに向かった。
「決まったかい。おや、見かけない顔だね? ビギナーかい?」
「あ、はい。それでちょっと聞きたい事がありまして」
イラーノが二つのボードを受付の男の人に見せる。
「この二つの仕事内容の違いを教えて欲しいんです」
「いいけど。これは、ヒールが使えないと出来ない仕事だよ」
「はい。俺、ヒーラーなんです」
ほぉっと言ってから説明を始めた。
「住宅街の病院のは、仕事があってもなくても一時間1,000Z。冒険者の方は、朝から夕方まで待機で、けが人が出て治療をした場合に治癒した患者に対して一人500Z。どっちがいいかは受ける側の好みだけど、お金が儲かるのは冒険者の方だろうね」
「ありがとうございます」
確かに冒険者の方が患者が多そうだし、数をこなす分だけお金になるもんね。ただ一日ずっと病院いなくちゃいけないって事か。
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