第2話 ぼくらはどこからやってくる?
「おもい…れす…」
重い…落ち着け、どう見ても俺の方が有利な状況じゃないか。不審者なら完全に制圧している。攻撃してくるでもなさそうだ。
それでも十分に警戒しながら足を退けて問いかけた。
「あの、大丈夫ですか?」
手足が埋もれていてどう見ても大丈夫そうではない。かといって掘り出した瞬間襲ってくる可能性も0ではないのだ。
このまま安否と正体を確かめるしかない。
「…生きてますかー」
耳の付近で何度か呼んでみるが返事はない。
ヤバいな。人を殺してしまったかもしれない。さっきまで襲われる心配をしていたが今度は一転して自分が加害者になる不安が頭を過ぎる。
「おい、なあアンタ大丈夫か!おい!」
思い切って力一杯引っ張り出してみた。
もうどうにでもなれ。
「え」
女だっていうのは声で分かっていた。
でもさ。
「すー…すー…」
こんな美少女はズルいと思う。
とんでもない美少女の手を取って物が舞い散る部屋、2人。
何かが始まる予感がした。
寝てるけど。
…現代
…とある家
「ねえ、学。頼まれてた物ここに置いとくわね。」
「うん。ありがとう母さん。」
「中身、ちゃんと確認してね。間違ってたら母さん変えてもらってくるから。」
「うん。ああ、大丈夫。これだよ。」
お互い慣れてしまっているのだろう。薬品を持ってくる母親とそれを受け取るニートの息子。
それも薄暗い部屋で。
普通の人間からしたら違和感を感じるだろうが、彼らにとってこれは人生で1番大事なことなのだ。
「これで次の段階が見えてきた。」
「待ってろよ。父さん。」
そう呟くと息子は作業を進めた。
…現代
…LES内、研究室
白衣を身に付けた1人の青年が部屋から出てくる。
彼は人目を気にしながら用意された個人の部屋に移動した。
「もしもし。僕だ。いや?全くもって見当が付かないよ。しかしアイツのデータなら既に…あぁ、また動くようなら連絡をくれ。くれぐれもバレないようにな。では。」
電話を切り、円居主星は鏡で身嗜みを正す。
レース♪
独特の通知音が鳴る。主星の携帯に1件のメッセージが届いた。
【二んヤ・う二"<ョ】
メッセージを確認すると主星は不敵な笑みを浮かべた。
「さて、今夜のぼくらはどこからやってくるのかな?」
携帯が一瞬レッサーマークを写し、消えた。
第3話 ここは天国ですね?へ続く
用語解説
レッサーマーク…人間がレッサー化する時、もしくはネガリヤ化する時に発生する赤い光。
レッサーに深く関わる物にも発生することがある。
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