レッサーパンダは好きですか？

第1話 わたしたちのせかい

プロローグ

...9+7＊÷「〆4×7々〆8○

....レッサー次元？の外れ、遥かなるレッサーの地

薄れていく意識の中、青い光を見た

体感で5時間くらいは経過した

何も見えない

全身が破裂したように痛い

死ぬ時に痛みを感じないなんて嘘だ

痛い

ただ、痛い、痛い、痛い、

痛みを感じたまま、私はー

最後に私が感じたのは、ひどく散らかった地面と足音だった。

私の意識はゆっくりと、遠のいて、い、、く、

「ぐぇっぁ」

...現代

....LES本部

レッサー化の研究を行う白を基調とした施設、それがLESである。

10年前のネガオリジン。その発生源となった場所に追悼と人類の復興の為、当時莫大な資産を有していた万朶羅須の支援で創立された。

「諸君」

施設内の大広間に鎮座する白い髪と着物を纏った背の低い老人が口を開いた。

「挨拶を」

「承知いたしました。」

彼は横にいた黒服に一声かけると部屋の奥へと戻って行った。

黒服は老人が部屋を出るのを確認すると、大きく息を吸い込んで叫んだ。

「皆の者ーーーーーーー！」

「私たちの世界は10年前に在り方を大きく変化させられた！その原因となったのは忌々しきlesser共である！」

「世界を守る為に今日も研究、鍛錬、健康管理！全てに関してパーーーフェクトにこなすのだ！」

「では。おはようございいいいいいいいいーー！！」

「「「「レス！」」」」

独特な掛け声と共に朝礼は終了した。

...現代

....アパートの一室

円居伴星は退屈な人であった。

産まれてから今日までの19年間、賞賛というものを受けたことがない。友人と呼べる者も両親もいない。

彼の部屋は物で溢れていた。いや？ゴミではない。

釣竿、スパイク、キャンプ道具、TCG、マンガ、アニメDVD、ゲーム、フィギュア、模造刀、モデルガン、女性、プラモデル、画板、画材、CD、レコード、酒、キッチン用品、便利グッズ、家電、アクセサリー、トレーニング用品、デスクトップPC、バット、薬品、洋服、

俺の次はどこにあるのだろう。

スマホを開いてレッサーの出現情報を確認する。

【アオパンダ地区は今日もヘイワ】

アプリを開くとデカデカと文字が表示された。

「そりゃそうか。」

趣味と呼べるもの全てに手を付けてすぐに飽きてしまった。

俺は、何を見れるのだろう。

思考しながらベッドから起き上がる。部屋から出ず、また何とも出会わない一日が始まるのだ。

一日と言っても今は夕方、いやもうゴールデンタイムか。

憂鬱になりながら洗面所へ向かう。

歩き始めて、足元に違和感を感じた。

「ぐぇっぁ」

ぐぇっぁ。

ぐぇっぁ？俺は一人暮らしだ。ここに住んで3年になるが初めて聞く音だ。

また何か買ってたっけ？パーティグッズでも踏んだのか？

すかさずどかした足元を見ると、見知らぬ女性がいた。

「……怖っ」

なんだ？何を踏んだ。頭がフリーズする。

何とも出会わないと思ってた今日という日に何とお手軽に出会いを果たしただろう。しかし場所が問題だ。ここはどこだっけ？俺の部屋だよな？

寝てる間に不法侵入してきた奴が寝ているのか？

よく見ると溢れたゴミ（ゴミではない）の間にかすかに髪の毛のようなものが見える。

「えっ、やばいどうしよう。警察？」

俺はもうパニックだった。退屈な割に刺激に弱いのだ。

「…れす…」

「え？」

喋った…のか？超唐突に現れたこの女、現れた？いや、そもそもいつからいた？俺が寝てる間か？

「…おもい…れす…」

「…みんな…ごめん…ね…」

それだけ口にすると彼女は静かに寝息を立てた。

第2話　ぼくらはどこからやってくる？へ

登場人物

円居伴星 マドイバンセイ

ひきこもりぎみのアンチレッサーパンダ。

19歳。

レッサー大学の大学生。

中学に上がる頃、両親をレッサー化により亡くしている。

友達はいないが恋恋のことは悪く思っていない。

好きな食べ物は羊羹。

サン・レッパーダ

レッサー化しているが人間態を保つ謎の少女。

量産型lesserに追われており、今は伴星と共に生活している。14歳。

狩野恋恋 キリノレンレン

レッサー大学の大学生。

伴星の幼馴染。伴星のことが好きでもう付き合っていると思っている恋する19歳。一夫多妻制を推しており、伴星が輝くためならどんなことも厭わない。レッサーパンダにはまるで興味がないが、伴星と同じ大学に入るためレッサー道に足を踏み入れた。

人生学 ヒトイマナブ

ニート。

人々がレッサー化する現象について自己流の研究を進める20歳。幼い頃父がレッサー化しており、母と2人暮らし。

円居主星 マドイシュセイ

伴星の兄。24歳。

表向きはレッサー化の特効薬を研究、開発するLESエルイーエスの若き研究員だが、密かに量産型lesserと協力して人々をレッサー化させる人体実験を行なっている。

魔王の存在は知らないが、魔王からは認知されている。

人類の中で最もレッサーに近い、破滅の星。

L.E.S.S. レス

LESの特殊部隊。ネガリヤ及び量産型lesserを確保、排除することを目的としている。

万朶羅須 ハンダレス

LESの最高責任者。

レッサー化した人類の保護を目標としている。その他一切不明。

サー・レッサー

レッサー次元を統べる最強のレッサーパンダ。

見た目は王冠とマントを付けたレッサーパンダ。

レッサーパンダを動物園に閉じ込める人類に極めてブチ切れており、文明を破壊する為レッサーパンダを送り込んでくる魔王。

レッサー化した人間

量産型lesserの体液に触れた人間。

人間サイズのレッサーパンダ。

攻撃性を持っていることは殆どないが、人間に戻す方法は未だ確立されていない。

ネガリヤ

人間がトランスレッサーした姿。トランス前に持っていた身体的特徴を増加させて人を襲う。

完全なる怪物。

体の大きさは人間の時と変わらないので、大人がトランスレッサー化した場合甚大な被害を引き起こす。

量産型lesser リョウサンガタレッサー

魔王が地球に送り込むレッサーパンダ達。

彼らの体液に触れた人間の体は直ちにレッサーパンダ化が進行する。その段階でさらに体液を体の中に流し込むことでトランスレッサーが開始され、ネガリヤへと変貌させる。

自らがトランスレッサーしたネガリヤにある程度の命令を下すことができる。

魔王に完全なる忠誠を誓っており、サンの殺害を最重要目的として行動する。

マザーレッサー

サンを含めた全てのレッサーの産みの親。

生死は不明。

残された肖像画では手足がレッサーパンダの人間として描かれている。

用語解説

ネガオリジン…10年前に発生したレッサーパンダ型の未確認生命体によるパンデミック

私達の国に甚大な被害を与え、40万人以上が犠牲となった

LES…ネガオリジンを受け、万朶羅須が創設したレッサー化及びネガリヤに対抗するための研究施設

レッサー化した人間を保護して人間に戻す薬を開発したり、ネガリヤの殲滅を行う

国内に3つの支部が存在し、LESは人類の希望となっている

万朶羅須…読み方はハンダレス LESの最高責任者であり、創設者。1度だけレッサー化した人間を元に戻す事に成功しており、その道の権威として老いた現在でも活躍を続ける。