第13話 戦闘中断
戦い方の分からない相手に先手をきらせたくない。
その一心で、俺は踏み込んだ。
「限定領域、
こっちから早々に仕掛ける。
そう判断してソードガンを形成する。
だが相手も行動が早い。
クオンは距離をとって、魔法の詠唱に入り始めた。
「a――」
彼女の喉が震えて、詠唱が木々の間に響き渡る。
猶予は数秒から数十秒。
だが、相手の性格や行動をみて、すぐ攻撃してくると予測。
人工の水晶声帯が空気を震わせるなか、オルタはしゃにむにつっこんだ。
「使わせるか!」
一歩、二歩。
勢いのまま進むが。
「ディバイン・サークル!」
「なっ、早い!」
クオンは、キャロより数倍も速い速度で魔法を発動させた。
足元に円形の呪縛陣が出現した。
俺は、慌ててその場から飛びのく。
ああいった手合いは、護衛とワンセットになって魔法を放つのがセオリーなのに、クオンはフォローを必要としていない。
数の優位はないも同然だった。
「時間をかけたらまずいな。おりゃあああ!」
相手に魔法を使わせないためには速攻で終わわらせるしかない、とソードガンをクオンの方へ向け、銃弾を放つが……。
クオンが割けた地面に着弾した瞬間、違和感が発生した。
地面がゆれはじめたのだ。
援護を入れようとしていたキャロが悲鳴を上げる。
「きゃあっ、なにこれ、地面が揺れてるの!?」
「何なんだ一体」
地震かと思ったけれど、そうではないような気がした。
半分は勘だが、揺れ方が不規則でおかしかったという理由もある。
大きい揺れがきて徐々に収まっていくのが普通だが、今のこれは地震の揺れに代償に規則性がなかったのだ。
体制を低くして転ばないようにしていたクオンがはっとした声を上げる。
「まさか、この現象は地下に……。まずい、ここから離れ……」
俺達が狼狽している内に状況が進んでしまった。
地面に亀裂が走り、広がる。
崩落する。
……嘘だろ!
その可能性に気が付いた時にはもう遅かった。
「まさか、この下に地下があったのか!」
「ちょ、嘘でしょ。このままじゃ。きゃあああああっ!」
「――っ!」
地面が崩れていったかと思うと、俺達は真っ逆さまにどこかへ落ちていった。
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