第14話 地下空洞
ばらばらと崩れ落ちていく大地。
その中で防御姿勢をとるのは容易ではなかった。
その最中に、とびかう土や岩の塊で怪我をしないように、前後左右くまなく注意を払わなければならなかったのだから。
崩落した先で、立ち上がる。
地下に落ちた俺達は、無事だった。
………一応生きてる、よな?
上から断続的に土くれが落ちてくる中、起き上がる。
幸いなこと、動けないような怪我は負ってないようだ。
「いてててて。結構な高さから落っこちたと思うけど、よく無事だったな」
「私の魔法が間にあったからでしょ。といっても、とっさの事だったし、タイミングを合わせるのも賭けだったから、運みたいなところもあったけど」
そうあんな予想外の状況の中、キャロがとっさに魔法を使ってくれたのだ。
………さすがだな、俺の相棒は。
それが無かったら、数十メートルの高さを落ちた俺達の命はなかったかもしれない。
とりあえず移動しなければ。
このままここにいると、新たに落ちてくる土の塊で埋まりかねないし。
実験をやっていた連中が気付いてくるかもしれないからだ。
俺達はさっさとその場から離れる事にした。
上へあがるという選択肢はない。
頭上を見上げてみるが、地上の光はあまりにも遠かったから。
「ここからのぼるのって、絶対無理だよな」
「できたら、人間じゃないわよ。かといってここで悠長に救助をまっているわけにもいかないし」
崩落に駆けつけてくれる人間は間違いなくいるだろうが、その場合は近くにいたレストリアの者達が先になる。
俺達の事は一応助けてはくれるかもしれないが、その先の事は良い様にはならないだろう。
捕まった後、牢屋に入れられるだけならまだいい。
しかし、レストリアが他の国に敵対的な実情を考えると、拷問されたり殺されたりする可能性の方が高い。
……それに俺達は、スパイ行為しちゃってるしな。
土ぼこりを払うキャロが、この場に落ちてきた三人目へと視線をむけて、俺の意見を伺ってくる。
「それで、彼女の事はどうするのよ」
キャロンがジト目でにらみ付けてくる。
彼女、というのはクオンの事だ。
崩落の最中、高い所が苦手らしく気を失っていたので、とっさに掴んでかばってしまったのだ。
だから、怪我をしたり命を落としたり、なんて事はない。
立場を考えたら見捨てた方が良かったはずだけど、とっさに体が動いてしまったのだ。
気を失っている彼女の姿を見て考え込む。
こちらと同じように重いけがなどはしていないようだが、それは彼女の意思があれば敵対可能ということだ。
………うーん。どうしようか。
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