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5-1

 わたしは探偵だ。真実をつまびらかにしなければならない。


 足がふらつく。それでも止まるわけにはいかない。


 わたしは探偵だ。わたしは探偵だ。わたしは探偵だ。


 探偵は足で稼ぐ。中等部の寮へ。無数の視線を蹴散らして、目的とする部屋を目指した。部屋を見つけ、ノックする。


「何の用ですか」少女は訝しげに言った。


「マリア様の元に案内してほしい」


 少女は目を丸くした。左右を窺い、言う。


「ついてきてください」




 われわれは草地の上を歩いていた。


 無数の羊たち。


 羊たちにはみな角がない。角があるのは山羊だけだ。


「なぜ、わかりました?」


「君は隠し事をするには少し性根がまっすぐすぎるね」


「わたしの演技はそんなに下手でしたか?」


「衣装を修繕する方が向いてはいるだろうね」


「あなたはどこまで知ってるんです」


「おそらくはすべてを」わたしは言った。「君たちが彼女を隠した方法を除いてね。どうやった?」


「マリア様を信仰する仲間は少なくありません」アンナは言った。「それは天使様でも例外ではないということです」


「彼女が最初に相談したのが君だったんだな」


「ええ」


「結局のところ君にとって彼女はどういう存在なんだ。いまだ手のかかる妹なのかい?」


「自分でもよくわかりません」少女は首を振った。「彼女は子供のように笑ってたかと思えば、次の瞬間には聖母様のような顔になるんです」


「なるほど」


 やがて幼少部食堂の裏手にまで来た。アンナはポケットから鍵を取り出し、中に入る。


 アンナは段ボールをどかしはじめた。わたしも加勢しようとするが、すぐに断られる。


 地下に食糧庫と思しきハッチが現れた。少女はそれを開き、さらに、コンテナを持ち上げた。階段が現れた。


「ここから先はおひとりでどうぞ。わたしはここで見張っています」


「ありがとう」


「どういたしまして」

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