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4-1
クリスマスはまだまだ続く。寮のベッドの上で。熱にうなされながら。
「サム……」
イザベラを安心させろ。
「大丈夫だから」
「きっとわたしのせいだよね」イザベラの頬を涙が伝う。「ごめんね、サム。いつもわがままばかり言って。たくさん迷惑かけたよね」
何を言えばいいかわからない。
「昨日もひどいことを言った。顔も見たくないって。きっとわたし、に甘えてたんだ。いくらひどいことを言っても許してくれるって。だからきっとすぐに帰ってくるって。なのに帰ってこなかった。サムまでいなくなるんじゃないかと思った」
何も言いたくない。
「五か月前にも同じようなことがあったよね。あの日、サムが寮を出ていったのだって、わたしが原因だった。言うべきじゃないことを言って、サムを困らせたの。サムはわたしがわがままを言ったとき、いつもそうするようにちょっと悲しげに微笑んで、それからぶらりと部屋を出て行った。わたしがそういう時、部屋でどうしてるか知ってる? マリア様にお祈りするの。愚かな自分を許してくださいって。もう二度としませんって。なのに、わたし、何度も同じことを繰り返してた。そして、あの日が来た。サムは出て行って夜遅くまで帰ってこなかった。わたしね、ずっと起きて待ってたんだ。明日、どういう顔をして会えばいいんだろうって思うと眠れなかったよ。明日なんて一生来てほしくない。昨日に戻ってやり直したい。ずっとそう思ってた。だけど、サムは許してくれたよね。わたしのこと受け入れてくれた」
言うべきことがある。
「謝らなければならないのはわたしの方だ」
「そんなことない。悪いのは全部わたし」
「違うんだ、ベラ」わたしは言った。「聞いてほしいことがある。少し、お腹に触れさせてくれないか」
「お腹? でも、最近太ったから恥ずかしいよ」
「いいから」
わたしは手を伸ばし、イザベラの腹部に触れた。
生命の膨らみ。
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