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授業が終わると、晩の礼拝。バシリカ式の礼拝堂に中等部と高等部の全生徒が集合する。天使長が説教をする。われわれは主の誕生を祝す祈祷をささげ、聖歌を歌った。
クリスマスはまだまだ続く。
礼拝が終わると、今度は講堂に移動になった。幼少部から高等部までの全生徒を収容できる巨大なホール。発表会のはじまりだ。最初の演目は幼少部の聖誕劇だった。白い翼を背負ったガブリエルが舞い降り、マリアにメシア受胎を告げる。マリアは台詞をとちらず、衣装の綻びも見当たらなかった。
クリスマスはまだまだ続く。
われわれ高等部の発表はグレゴリオ聖歌だ。少女たちの清らかな声音が行動中に響き渡る。
クリスマスはまだまだ続く。
イザベラはずっと笑っていた。発表の一つ一つに拍手し、はしゃぎ、明るい声で話しかけ、夕食の後に出たケーキを切り分けてくれた。
何も言いたくない。言えばまた彼女の笑みを壊してしまう気がした。
クリスマスはまだまだ続く。
夜になった。わたしは時計を気にしはじめる。
「ねえ、サム。この後だけど――」
何も言いたくない。だが、言うべきことがある。
「すまない。先約があるんだ」
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