2-6

「入れ」


「失礼します」


 天使長。ママはいない。


「報告に上がりました。ママはご不在でしょうか」


「ああ、今日は早めにお休みになられた」天使長は気づかわしげに言った。


「何か体に障りが?」


「少しお疲れになっただけだ。案じずともよい」天使は一転して不機嫌に言った。「報告はわたしが聞く」


「アグネスの同級生たちに話を聞きました」


「何かわかったか」


「いまのところは何も」


「そうか」


「あの、天使様は何か見つけられたのでしょうか」


「君は知らなくてもいい」


「申し訳ありません」


「天使たちは天使たちで自らの任を果たしている。何か決定的なものが見つかれば君にも知らせよう。だから、余計なことに気を回すな。君は君の使命に忠実であればいい」


「肝に銘じておきます」


「報告は以上か」


「はい」


「なら、下がっていい」


「いちおう忠告しておくが」天使長は言った。「神はいつでも見ておいでだ。誘惑に屈するようなことがあればそのときは……」


「承知しています」

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